今夜も言わせて | 続・阿蘇の国のアリス
アリスとは、
六年間、旅を共にし、
お互いに愛し合ってきた仲でした。


その間、ぼくは彼女のことを
とても愛しいとは感じていましたが、
そのことがありがたいこどだと
いうふうには気がついていませんでした。

彼女がそこにいることが、
当たり前のことだったからです。


ところが、
彼女が死にかけると、
いてくれて、ありがとう。

ぼくのところに来てくれて、
本当にありがとう。

ぼくはなんと
ありがたい日々の中に
いたことだろう。

そんなふうに気がついたのです。

この広い宇宙の中で、
なぜだかわからない偶然によって、
出会った奇跡の犬だったのです。


だから、今夜も言わせて...

「アリス、ありがとう」


「私も...ありがとう!」