エスキモーの詩 | 続・阿蘇の国のアリス
ある日、目覚めると、
アリスガーデンが荒されていました。


最近出没している
イノシシの「デカタロウ」の仕業です。


「大切なユリの球根食べられちゃったね」


「デカタロウに山奥へ帰るよう、
交渉しましょう」


しかし、その心配は、
すぐになくなりました。


デカタロウは、人に撃たれて、
そして、捨てられていたのです。


「きっと、補助金の三千円
目当てに殺されたんだわ...」

※猪三千円、鹿一万円、猿三万円


「食べてあげればいいのにね」


パパは何も言わずに、
私に薬草を食べさせてくれました。




「たくさん食べなさい」


自然はいつも、
強さの裏側にもろさを秘めています。

そしてぼくが魅かれるのは、
生命の持つそのもろさの方です。


阿蘇の大地は、
忘れていた人間のもろさを
そっと呼び覚ましてくれるのです。


「エスキモーの詩・魔法のことば」

ずっと、ずっと大昔
人と動物がともにこの世に
住んでいたとき
なりたいと思えば
人が動物になれたし
動物が人にもなれた。


だから時には人だったり、
時には動物だったり、
互いに区別はなかったのだ。

そしてみんながおなじことばを
しゃべっていた。

なぜそんなことができたのか
だれにも説明できなかった。

世界はただ、
そういうふうになっていたのだ。