動物のほうがはるかに好きでした。
動物園にはよく通ったし、
家でもあれこれペットを飼い、
死なれては泣きました。
ぼくが44歳の時に
やってきたアリスには、
尋常ならざるものがあります。
「アリスは最高の犬だった」
他の犬を飼った経験が
ないにもかかわらず、
ぼくはそんなことを言っています。
ぼくの顔を見つめている
彼女の顔を見つめる。
自分のほうからは
決して眼をそらさない。
不思議な犬です。
いつまでもじいっと、
ぼくのことを見つめている。
「どこまでも、一緒だよ」
まるでそう語っているかのように。