おみこし | 続・阿蘇の国のアリス
今日(13日)は、ママの外来です。


そして、年に一度の
脳のMRI検査の日なので、
わたしもお供をします!


ママはいたって
明るく振舞っていますが、
本当は緊張しています。

だって、
がんが脳に転移しているかも
しれないのですから。

「ママはわたしが守る!」

「アリスは私が守る...」


そんなママに、
パパはみこしを作ってあげました。


今年、友達からいただいた
御守で作りました。


「アリス、行ってくるね」


ママとパパは、
かけ声を合わせて
受付まで進みました。

「ワッショイ!ワッショイ!」

「ワッショイ!ワッショイ!」


みこしを見た患者さんは、
クスクスと笑っていました。

「なんだか、恥ずかしい...」

「病院が明るくなっていいんじゃない」


待合室で順番を待っている時、
ママは、
「患者さまつぶやきノート」
を見つけました。

あるページに、こう書いていました。


主人の付き添いで来ています。

余命一年をいわれ、
早10ヵ月が経ちます。
日ごと痩せていく
主人を見ていると
泣きたくなりますが、
今わたしがしっかりしていなければ
と、自分に言い聞かせ
毎日を生きています。

主人が一日でも長く
生きられるよう祈りつつ、
一ヵ月に一回
MRIに通っています。

ナースの方、他の方の
笑顔にささえられて...。


余命宣告を
受けられたとのこと、
ご心労いかばかりかと
お察し致します。

しかし文面からは
大切なご主人様と過ごされる
濃密で素晴らしい時間を
とても大切にしておられる
様子が伝わって参ります。

奥様のお心必ず、
ご主人様に伝わっていると思います。

今後も一ヵ月ごとのMRIが
何十回、何百回と続くよう
心を込めて
お手伝いさせていただきます。


ママが病気になる前の
自分を思い返すと、
いかにも物足りないのです。

生や死について話しても、
致命的に軽かったと思います。


そして気がつけば、
僕はあかるくてちょっと
淋しい平原に、
ひとり取り残されていました。

「ワッショイ...」