51歳の妻、非常に聡明である。
がんを宣告され、
ひとしきり泣いた後、
僕の友人一人一人の手を取り、
「パパのことをよろしくお願いします」
そう言って頭を下げた。
明日はアリスの病院か...。
脳を診た医者からは、
何て言われるのだろう。
そう思うと、
僕の心ははちきれそうになる。
そんな僕を見た彼女...。
アリスはきっと大丈夫、
などブツブツ呟いていたが
いきなり、
「私は51年生きてきた。
やり残したことはないよ」
と言う。
そして、
「私は51年間、とても幸せだった」とも。
こんな人が、
どうして不幸せに
なることができるだろう。
アリスもそう言ってくれるかい。