5度目の正直 | 続・阿蘇の国のアリス
わたしが倒れた後、
ママとパパはすぐに
わたしを病院に連れてゆきました。


あらかじめ探しておいた、
心臓の名医がいる
新しい病院です。


そこでわたしは、
レントゲン、心電図、超音波、
血液などの検査をしました。


「最初の病院は、
風邪だといって
咳止めの薬をくれました。
大型犬はなかなか治らないから、
長く飲ませてください
といわれました。

二件目目は、
先生が泣きながら、
心臓肥大だと告げ、
心臓の薬を出しました。

三件目は、
軽い打撲でしょうが、
念のため、
全身麻酔をして
内視鏡で調べた方がいい
といってきました。

四件目は、
病名は分からないが、
心臓と肺が弱っている
のは確かだから、
心臓と肺の薬を飲ませましょう、
とのことでした。

ついでにサプリメントを
すすめてきたので買いました。
咳が止まったのは
最初の二日間で、
三日目からはさらにひどくなって
今日倒れました」

パパは検査の間中、
わたしの症状と、
過去の病院でのことを
先生に伝えました。

ママは涙を溜めていて、
今にもあふれてこぼれそうでした。


「ここには、
どこに行っても治らない、
そんな人たちがたくさん来ます」

先生は呟きました。


検査の結果、
先生からは、
わたしはもともと心臓が弱く、
残念ながら
「オカルト拡張型心筋症」
だといわれました。

オカルトと頭に付くのは、
隠れているという意味で、
いつそうなってもおかしくない
ということだそうです。

他にも、
「慢性気管支炎」だの、
「気管虚脱」だのといわれました。

最後に、
これからは激しい運動を避け、
塩分を控えるようにとのことでした。


昨晩は、新しい薬を飲んで、
久し振りにぐっすり眠れました。


そして、夢も見ました...


バナナのようなフンをして、
ママとパパと一緒に
旅に出かける夢です。


「ねぇパパ。
今日は山でカモシカを探そうよ!」