「吉本新喜劇を見に行きたい!」
熊本に「吉本新喜劇」が
来ることを知ったママは、
お梅に、チケットを
取ってほしいと頼みました。
しかし、
吉本新喜劇熊本公演は、
震災のため開催が
中止になっていました。
「あ~あ、行きたかったな」
ママはため息混じりに呟きました。
吉本新喜劇といえば、
ある日のことを思い出します。
それは、
ママががんを告知された日のことで...
あの日、
皆は落ち込んだまま
水前寺公園の食堂に入ったのですが、
そこのテレビでは
「吉本新喜劇」が流れていました。
誰もが無言のまま、
食事をとっていたのですが、
テレビを見ているうちに、
にせモンが笑い出したのです。
それをきっかけに、
僕もつられるように笑いました。
泣きながらです。
ふと、
そのことを思い出すと、
なぜ彼女が吉本に行きたいかが、
わかるような気がします。
きっと彼女は、
僕に笑ってほしかったのです。
どんなときでも...。
「ねぇママ、
今、大きなコイが跳ねたね」
「うん、大きかったね」
「今度パパに捕まえてもらおうよ」