俵山トンネル | 続・阿蘇の国のアリス
夕暮れ。

西の山に陽が沈む頃になると、
南阿蘇の家々にも、
ぽつりぽつりとあかりが灯ります。


そして、
やがて訪れる闇の中で、
そのまばらなあかりが
ぼんやりと浮かびあがってきます。


そのあかりに、
僕たちはいつも心を奪われてきました。


街で遊んだあとも...


外来が終わったあとも、


友人を見送ったあとも...


俵山トンネルを抜けると、
星空のような風景が
僕たちを迎えてくれていました。


「おかえりなさい」

あの家々のせつない光が...
あの下で暮らすひとたちが...
そういってくれているような
気がしていました。


ぼくがいまふと渇望するのは、
そんな風景との再会です。