あるアリの物語。第六回
「ジャックさん、ちょっといいですか?」
仕事中のジャックに声をかけてきたのは、
マネージャアリのアーノルドです。
アーノルドは、穴掘り会社から
ヘッドハンティングでお菓子解体工場へやってきて
まだ日が浅いのですが、
前の会社で作業の大幅な効率化を成し遂げた手腕をかわれ、
経営陣から一目置かれている存在です。
「はい、なんでしょうか?」
ジャックは作業台を離れて、アーノルドの部屋へ向かいます。
「ジャックさん、これを見てください。」
机の上にアーノルドが広げた大きな紙には、
工場の作業員の名前と各自が分解したお菓子の量、
そして抽出された「あまい」「からい」「にがい」「すっぱい」
の各味の量がグラフにして書かれていました。
「これを見ていただくとわかってもらえると思うのですが、
ジャックさんの作業ペースは他の作業員よりも効率が悪いんですよ。」
(つづく)