あるアリの物語。第八回
「ジャックさん、あなたは、会社が設定した基準よりも
さらに細かく分解していい気になっているようですが、
それは単なる自己満足にすぎません。
危険なお菓子に関しても、会社が定めたマニュアルに
即して対応しなければ、規則違反です。
工場は組織として動いているのですから、
勝手な“ジャックさんルール”で行動されては、困るんです。」
何も言い返すことの出来ないジャックに、
アーノルドの容赦ない言葉が続きます。
「いいですか、ジャックさんが給料分の仕事をしているか、
していないか、それは、工場の決めた方針と規準にのっとって、
定められた目標をクリアしたかどうかによってのみ、
判断されるんです。
今までのような、俺様ルールが今後も通用すると思ったら
大間違いですよ。
今後は私のたてた方針と計画にそって行動してください。
いいですね。私からは以上です。」
アーノルドは、呆然と立ちつくすジャックの脇を通って、
作業場のほうへ行ってしまいました。
残されたアーノルドは壁の一点を見つめたまま、
なおも体を動かすことができずにいました。
アーノルドの視線の先の壁には、大きな文字で書かれた
「日々是カイゼン」というポスターが貼られていました。
(つづく)