土曜の夜をざっくりとゆったりと愉しむバルセロナの空気と、
美しくグラスの口に向かう泡を私の中に留めて、次なる流れの先へ
。
日曜の朝、サンツ駅から国境を越えフランスに向かいました。
フランス国鉄のHPで偶然見つけた€25の片道切符、行先はLyonです。
まさに「チケットを買う!そして乗る!」です
。
パリには何度か訪れましたが、その他の都市はシャンパーニュ地方ランスぐらいのもの。
リヨンも街の名前こそ知れども、訪れる機会に恵まれるとは思いませんでした。
その地は美食の街
として知られ、
多くの名シェフたちを送り出しているとか。
ローヌ河とソワール河を配し、穏やかな気候と豊かな四季の恵みの恩恵を受ける美しい街
。
絹織物業や印刷業でも栄え、繁栄の時代を築いたといいます。
バルセロナ~リヨン間は5時間強。
窓側の指定席で車窓の景色を楽しむはずが、
先に乗車していた大柄な黒人男性が決して席を変わろうとはしません
。
指定とは別の席に座っていても、大抵は本来の指定券を持つ人間が乗車してきたら、すぐに席移動してくれるのですが
。
こんなことで騒いでいても面倒なので、これも旅かと諦めることにしてひたすら読書時間。
座席をはみだす勢いの大柄な隣人。肘掛はもちろん上がったままです
。
スペインとの国境を越えフランスに入ると徐々に車窓の景色が変わってきます。
ニームの駅を越え、列車は北上を続けていき、
ゴッホら多くの画家たちが愛した地をTGVが颯爽と飛ばしていきます
。
これもフランス、これまで見たことのあったフランスの景色とは全く異なります。
どうしてその本をチョイスしたのかは分かりませんが、
持参したのが’The Georgetown Ladies’ Social Club’でした。
舞台はアメリカの政治の中心地ワシントン、
男性優位に思われた政界のその裏を実際に動かしていたのは女性たち…
という構成でキャサリン・グラハムやヴァンジー・ブルースなど
錚々たる社交界の女王’たち’にスポットをあて、
その生涯が紹介されています。
華やかにしか見ていなかった彼女たちの人生に、
実はあんなこと、そんなことが他の人と同じように起きていたとは…
それもより強い振れ幅で。
一冊の本に向き合い、趣くままにページを開いては閉じれるのも旅時間の醍醐味
。
終点リヨンに近づくにつれ、座席にも余裕が出てきたので
魔のシートを抜けて別の座席へ。
途中、雨の降る駅を通り過ぎたかと思えば、
快晴の空の下の静かな小さな駅舎を通り過ぎたり。
いや~、地球は広い
。
さてリヨン。
パール・デュー駅に到着です。
""私の歩くところが私の世界の中心であり、私が歩みを止めた場所がその日の家であり、その日の宿である"" Kazuo.Dan
