Always smile

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めぐりあえた世界に感謝をこめて…

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気付けば前の旅の記憶を書き残す前に、一つ旅を重ねてました。あ~あ…
時間はいつものように過ぎていくけれど、私の中の記憶も思い出も鮮やかなまま。
今でも昨年の晩夏のフランス周遊の時間、空気感も何もかも思い出すことが出来ます。
(日常なんて昨日のことですら、グレー色ですが。)

さてさて、ボルドーの超短期旅を終えて列車に乗った私が向かったのが、ポワティエ。この町もサンチャゴ・コンポステーラの巡礼地の一つです。
駅を降りてびっくり!あれ?町がない???!!!
町がない、ん?見上げると町らしきものが見える…
そうです、駅からテクテクと階段を上がっていくと丘の上に旧市街が広がっていました。リュックで良かった~!ボルドーの賑わいとはうって変って静かな、のんびりとした空気の流れる白壁の町、ポワティエ。宿も少しグレードをアップしたので、快適なホテルステイを楽しめました。旅もいよいよ終盤。
私の足も「そろそろ休めてよ~」と言う頃ですから。

白壁の町をぶらり、教会を訪ね、マーケットをのぞき、当所もないただ時の過ぎゆくままに…シャンパンを買って広い空を見上げる。なんて至福のとき。
テイクアウトした食事に、アルルで買ったアブサンのグラスでシャンパンをゴクリ。無謀に思えた旅の行程も何とか無事にここまで廻って来れたというものです。旅の神さまに感謝感謝。

翌朝、まだ夜も明けぬ時間、7時を過ぎる頃、ポワティエの丘を降りて駅に向かいました。まだまだ眠りの時間の町をあとに、(これ、実はちょっとドキドキしながら早足で用心して歩きました)目指すはTours、そしてこの旅最後の目的地Parisへ。

これだけ情報が瞬時に、自分の都合の良い時間に、思うように、それも膨大に得られる時代。旅だって、もしかしたらこれだけの情報に囲まれていれば、「なんとなく~」行けた気分に、訪れた気分になれるのかもしれません。でもやはり、実際に訪れてみないと決して分からないことがあります。自分でその地に自分の足で立って、その空気を吸ってみることはまるで違う、そう思います。
それが楽しいことや嬉しいこと、感動することばかりでなくとも、それがもしかしたら、愉快でないことであったとしても。
’本物’を知ることです。
自分の感覚で、自分の感性で、自分自身の心で。

トゥールに到着する前に、ちょっと脱線のブログ…

「お腹すいた~」と立ち寄るお店、カウンターでシャンパーニュを片手にああでもない、こうでもないといつの間にかほろ酔いに。
そんな貴重な空間がクローズする頃、別の扉が開きました。
旅の途中で知り合った方が小さなバーを開店したのです。知る人ぞ知る、、的な魅力ある空間。「お腹すいた~」というと「どれくらい?」の返し。あとはリクエストに合わせて作ってくれます。メニューはなし(テキトー)。
アンティークランプの優しい灯りに癒されながら、クラシック映画を見ては、ああだね~、こうだね~と話は尽きず。「そろそろ本でも書きなさいな」と言い合いながら。
こういう瞬間、日常の煩わしさやネガティブな空気がふっと消えていくから不思議です。店の主はタイプこそ違えど、どちらも第2の、第3の人生を謳歌している人生の大先輩です。寄り道や旅を機会に得た損得勘定やご都合仲良しではないつながり。
彼らの向こうにある人の記憶が映ります。

明日があるさという名曲。
昭和ってすごかったんだなぁと思う時代を継ぐ名曲のひとつ。
でも私が好きなのは坂本九さんが唄ったオリジナルではなく、よしもとの人気芸人さんがre-Japanとして集まったバージョン。
ラストはダウンタウンがそれぞれパートを担当するのですが、その直前に歌うのが花紀京師匠。
発売当初、CDではなく芸人さんたちの掛け合いが見たくてプロモーションビデオを購入したのですが、この中で一番気になったのが、きっと最高齢であろう師匠でした。とても、惹かれつつといっても当時は名前すら知らず先輩から「師匠やないかい!渋いとこいくなぁ~。」と教えてもらって知ったのですが。
歌にも振り付けにも難儀し、とても若手にはつけず、休憩を挟んではリハーサルに臨む師匠。大先輩の「あかんわ~」連呼に後輩たちが「何でやねん」を含みつつの敬語で相手する様子もまたツボでした。
若さという勢いの助けは望めず、その場で吸収という臨機応変さも鈍くなりながら、でも曲を通してどの芸人さんよりも見る目が穏やかになり自然に笑顔が浮かんだのは師匠でした。何だったんだろう、あれは。

それから二桁の時の年を重ねてふとこの曲を聴いてみたくなりました。あの頃、若手といわれた芸人さんたちも今や中堅、ベテラン、そして大御所に。そして師匠はこの世から次の世界へ…。
やっぱり師匠のパートが最高!
苦心しながらステップを踏み、音程を外さないように必死、でも笑顔。何ともいえない味を醸し出してます。この味を余裕というのか…ようやくたどり着いた答え。
師匠、凄い!

…歳を重ねるのって凄いことなんだなぁと。
若さというのにはどうしたってかなわない。繕う必要のない、存在だけで輝いていられる、若さという魔法。
でも重ねて来ただけの深さ、歩んできただけの豊かさから漂う余裕には逆に若さが決して敵わない。余裕は魔法ではなく、人それぞれがそれぞれで得て積み重ねる歴史の産物だから。ある人にはびっくりするほどあって、ある人にはびっくりするほどない。
だから歳をとるというのは凄く残酷なことでもあるんだなぁ。その人がどんな積み重ねをしてきたかを取り繕えないから、若さでは隠せないから。

その間にいるような微妙で曖昧な齢の立ち位置で、生まれてきてこれまでと、ここからを見渡して思うのは、悪くないな…と。それはまぁまぁ自分だったらこの程度で充分じゃない?とかそんなもpんでしょというものではなく、「うん、まずまずこれで佳し」。

大先輩や師匠の域に達するのはかなりハードル高いでしょうが、魔法の代わりに積み立ててきた余裕のピースを自分らしく集めていけば、寄り道も回り道も、全て自分の栄養になる。
さあ、旅に出よう!
そう、師匠のほのぼのした声が今も歌ってくれる"明日があるさ"をお伴に。

 

翌日、まだ夜も明けぬ時間から1日のスタートです星空

バヨンヌからボルドーを経由してポワティエまでの旅です。幹線沿いを円形にまわってきた旅の終わりが近づいてきます。ホテルから駅までの距離、さほどでないもののやはり暗い時間はそれなりに緊張するものです。わき目をふらずテクテクと駅に向かいました走る人

7時過ぎの駅、パリ行のTGV到着を待つ人々が集まっていました。リュックに帆立、そして杖と瓢箪を携えた人たちも多かったです。巡礼の途中、または帰り道でしょうか。定刻を少し過ぎて列車が到着、さぁ、どんな景色が待っているでしょうか。

ホテルで朝食をとっておいたおかげか、予定通り列車に乗れた安心感か、うとうとと心地良い眠気に誘われながら進む列車時間。朝もやの向こうに朝日が照らしだされ広大なファームを鴨の群れが一斉に駆け足する光景は写真に収めることは出来なかったけれど、私の目にしっかりと残りました合格

Bordeaux、といえばカヌレ、そしてワイン…というくらいの知識(それも食限定)しかありませんでしたが、ボルドーはその歴史も大変に深く長く、「月の港」と呼ばれる美しい町であり、重要な交通の要所でもあることをこの旅で知りました。そしてこのボルドーもまたサンチャゴ・コンポステーラ巡礼の重要な地点の一つだということもお月様

国鉄駅から町の中心までは少し離れているので、トラムを利用してアクセスすることにしました。この日も太陽の光降り注ぐ1日で、ジロンド川を渡るトラムの車窓から、旧市街の美しい街並みがくっきりはっきりと見ることが出来ます。そして旧市街に残る美しい街並みは、想像以上に素晴らしく、いつかここにゆっくり滞在して一つ一つの建物をくまなく見て回りたい、そう思いました。

 聖堂で束の間、静寂のときに浸り、教会前の広場で開催されていた蚤の市をぶらり。雲一つない晩夏とは思えぬ力強い陽射しは、水の鏡に反射してなお一層美しく見えました。リュックをしばし置いて、ランチはムール貝・そしてボルドーの白ワインを。これぞ私の旅。「目に見る全てが輝いて見える」そんな瞬間にここボルドーで出会えました。

   そうそう、このボルドーに向かう列車の中で、窓に映る自分の表情を見て驚きました。口角が上がって何だかとても満ち足りた表情をしています。この旅、正解!私はどうやらとても幸運な旅を続けていたようです桜

 

この旅でとても楽しみにしていた滞在先の一つがバスク地方のフランス側の玄関口バヨンヌでしたニコニコ。フランスとスペインの国境付近にある地方をバスク地方といい、独自の文化と独自の言語を持ちます。白・赤・グリーンを配したバスクの旗もあります。フランスバスク、スペインバスク、北バスク、南バスク、なんだかいろいろな分別があるようです。

 トゥールーズからICでのんびり鉄道旅をしていると、白い壁と赤い窓、牧草地に放牧されている牛さんたちなどなど、これまで見たことのない初めての景色を堪能出来ました。この小さな感動、なかなか得られるものではありません合格

 バヨンヌ駅に到着、明るい陽射しはまだまだ健在です。翌日の出発が早朝だったので、駅からほど近いアドゥール川のほとりにあるホテルを予約しておきました。駅で多く見かけたのが帆立貝をつけたリュックと杖を携えた人々。ここはサンチャゴ・コンポステーラ巡礼の重要な交通要所のようです。確かに、バヨンヌ・パリ間にはTGVが運行しています。便利もよいのでしょう。古くからリゾート地として栄えたビアリッツなどを擁したことも、交通事情に大きく関わったのかもしれませんクローバー

 荷物をおろして、橋を渡って旧市街へと向かうと、大きな聖堂の尖塔が見えてきます。聖メアリー聖堂の場所を尖塔に示してもらい、焼き立てのパンを片手に街歩きをしてみました走る人走る人。バヨンヌは美食の街としても知られているようで、バヨンヌジャンボン、ショコラなどなど通りを歩いているだけで食欲が溢れてきました。そして布好きには欠かせないバスクリネン。

今回の旅を色にすると何だろうなぁ~と想像すると「ブルー」と「黄色」。バスクリネンで何かないかしらと店舗をめぐっていると、ありました!久しぶりの大人買い。ブルーは南仏の青空、黄色はアルルで見たゴッホの黄色の世界、そしてトゥールーズに向かう車窓から見たひまわり畑の黄色でした。そして旅を音楽で表すとどうかなぁ~と思ったらエルビス・コステロの’SHE’

旅を色で示せるということは感性が澄んできたということ。旅を音楽で示せるということは感性が豊かになってきたということリボン

旅を続けていれば、どちらかしかない旅もあります。そしてどちらもない旅も。

この旅は、色と音、そのどちらも心に浮かびました。バヨンヌの大きく広がる青い空の下で、その恵みの瞬間は突然に訪れました。でもあたかもそれがあたりまえで自然であるかのようにお月様

 

 

 

トゥールーズからTGVで一駅、30分ほどの場所にある小さな町モントーバン。トゥールーズ滞在2日目に少し足を伸ばしてみることにしました。もちろん、日本で発行されている一般的なガイドブックにはない旅先なので、地図を片手にまずはツーリストインフォメーションを目指すことに走る人あし

この日はあいにく少し曇りがちで、小さな町も中心地に行くまでは少し寂しい感が漂っていましたくもり。途中、何だか賑わいのある声の方向に行くとマルシェがたっていましたリンゴさくらんぼいちご。地元の人たちで大人気!新鮮なフルーツや野菜、チーズやはちみつ、何だか列に加わるだけでキモチが上向きになってくるから不思議です。さすがに冷えてきて、途中のカフェで暖かな紅茶をいただいて一休みコーヒー。「どこから来たの?」「日本から」なんて会話をして時計を気にすることもなくの~んびり。旅の贅沢な時間です。

町の中心は橋を渡った向こうにあり、かなりの歴史がありそうな教会の尖塔を発見。あれ?!帆立がついている!…もしかしてココは…と注意深く見てみるとSt.Jacquesの名が刻まれています。聖ジャック教会!サンチャゴ・コンポステーラの巡礼ルートとは関係のないモントーバンでしたが、ここで帆立貝に会えるとは。もう少しこの街についてよく調べてくれば良かったなぁ…。ホテルに戻って早速チェックしてみました。

メモモントーバンは中世までには商業取引で栄えた町で、カルヴァンの思想を受け入れた町だったので、ナントの勅令の後には新教を容認した町でもあったそうです。1621年には、ルイ13世とその軍隊が町を包囲したカトリックの権威に反逆し、町は誇り高く抵抗したそう。サンジャック教会(Église Saint-Jacques)には砲弾が打ち込まれたそうです。婦人像でも知られるドミニク・アングルもこの街の出身。彼の美術館もあります。

バラ色の煉瓦造りの建物がだんだんと増えていよいよ町の中心のナシオナル広場に到着です。迷路のような道が続くのはここが城塞都市だったことの名残でしょうか。フランスの地方の小さな都市はこういった町並みが残されていることが多いです。そしてそれぞれに趣きがあります。

あれ??さっきもこの道に居た気がする…歩数がいつも大変なことになっているのはそれが原因かにひひ。何十世紀も前の先人たちがこらした知恵と策に、この便利至便な現代に生きる私もすっかり翻弄されているわけですね叫び

こんなとき、やっぱり頼りになるのが、地図と標識、そして人の親切。いつでもどこでも情報が気軽に安易に入り、大勢の人間で集まってやりとりをしなくても、クリック一つで、タップ一つで何千何万という情報のやりとりが可能な現代でも、基本はやっぱり変わらないわけですグッド!

 列車の時間に備えて旧市街をあとにタルン河にかかる14世紀創建の旧くも美しい橋を渡っていると道路の対面の方からヒジャブを羽織ったフランス語で何か尋ねる女性の声が。どうやら時刻を知りたいよう…そんなときは指で示して「OK音譜」のサインと「ありがとう!合格」のサインを交わす旅の一期一会の瞬間。

 こんな光景はこの橋が築かれた頃も、いやその前も、行き交う人々の人種や宗教やその他の異なりはあっても、いつの時代にもあったものなのでしょう。そうやって歴史は紡がれてきた…。ガイドにも載らないフランスの小さな町で、そんなことに気づかされましたニコニコ