楽園のカンヴァス
原田マハ著
新潮文庫
2023.3.24読了
☆☆☆☆☆
こういう物語を書くと、さすがに著者は上手いなぁ。実際MoMA(ニューヨーク近代美術館)に勤務していたキュレーターだけあって、美術作品に関する見識はピカイチ。登場する絵画についての考察だけでも楽しめる。本作のテーマになったのはアンリ・ルソーの「夢」。ルソーの生い立ちから、「夢」を描くに至った背景、そしてその真贋を見極める若い研究者たちの葛藤。壮大な構成のミステリーで、読み応えは充分。文句なく☆5つです。
ちなみに30年くらい前にMoMAに行ったことがあって、そのとき「夢」や「眠るジプシー女」を見た記憶はあるのだけれど、この本先に読んでればもっと楽しめたのにな(時系列的に無理ではあるが)。