分水嶺
笹本稜平著
祥伝社文庫
2018.2.21読了
☆☆☆☆
絶滅したと言われているエゾオオカミと、それを追い求める人たちを通して、人間と自然のかかわり方を問う。利便性や快適性を求めて、人間が自然界に過大な負荷をかけ続けてきたのは事実で、その過程で消滅してしまった生物も少なくない。とはいえ、自然保護を優先して、人が50年前100年前の生活に戻ることはできない。考古学的時間軸で見ると人間の繁栄はここ最近の一瞬のことで、過去の恐竜がそうであったように、何かのきっかけ(例えば核の暴走など)で人類が滅亡してしまう可能性も充分ある。そのようなリスクを覚悟したうえで、現在の栄華を享受すべきなんだろうな、と考えさせられた1冊です。