賞の柩
帚木蓬生著
集英社文庫
2014.9.12読了
☆☆☆☆
ノーベル医学・生理学賞を単独で受賞した英国医学界の重鎮。しかしその受賞の裏には、同じ分野で研究するライバルたちを葬り去った過去がある。そのライバルのひとりだった日本人研究者の教え子が、単独での受賞に疑問を持ち、関係する人たちを調べていくうちに真相を知ってしまう。
ミステリー小説なのだが、そこは著者の作品らしくヒューマンな部分にも相当なウエイトがあり(本作品の場合は親子の愛情)、そして最後は良識ある、善良な人々に陽が当たる。いつものように読後感のいい1冊です。
同様の、学術界を舞台にした著者のミステリーとしては「白い夏の墓標」「カシスの舞い」「聖灰の暗号」があるが、いずれもすばらしい作品です。ぜひ読んでみてください。