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前回のUSDAオーガニックコスメに関する記事では、化粧水や美容液などの保湿製品やシャンプーやリンスなどのヘアケア製品の多くは、ローズマリー葉エキス(ローズマリーエキス/ROE)と防腐効果を高めるエタノール(アルコール)が組み合わされて配合されているため、アレルギー発症の危険性や乾燥性敏感肌/乾燥肌を招く危険性があることをかきました。今回は最終章です。
前回および前々回の記事でご説明してきたように、アメリカ農務省(USDA)が化粧品にもオーガニック認証制度を設けたことは、決して成功とはいえないということです。メーカー側や販売者側は、高付加価値商材として顧客を獲得すれば、とても大きな利益を得ることができます。しかし消費者にとっては、場合によっては誤解により健康被害を被ってしまうという、とても残念かつ恐ろしい結果を招いてしまっているのです。このようなアメリカの惨状を考えれば、日本においても、オーガニックコスメ制度は実施すべきでなないでしょう。場合によっては、アメリカ以上の混乱が生じる可能性があります。「オーガニック化粧品にこだわる人 vs パッケージ等で決める人」と題した別の記事にも書きましたが、日本には十分すぎるほどその土壌があります。
まず最初にに、農薬等の化学物質で汚染されていない天然成分であれば安全だと信じ込んでいる方が少なくないことです。これは一部の自然派化粧品メーカーや化粧品販売業者、大きな責任があるでしょう。一旦消費者が「天然崇拝主義者」に陥ってしまうと、抜け出すことは簡単ではないようです。とにかく天然/自然由来にこだわり続けます。天然であるか化学合成であるかで取捨選択することは、複雑な思考回路や深い知識を必要としません。その安易さが大きく作用しているかもしれません。大半の方はご存知のことだと思いますが、化学合成物質であっても安全性が極めて高い化粧品成分もあれば、天然由来成分でも危険性が極めて高い美肌成分もあります。
次に、化粧品に記載されている全成分を、チェックされない方が意外と多いのです。そのような方の表現をお借りすれば、「化粧品成分をいちいち確かめない」とのことです。そういった方が化粧品を選ぶ判断基準は、商材の宣伝文句とパッケージやボトルのデザインや色調なのです。配合されている化粧品成分をチェック上で購入される方からすれば、信じがたいことなのです。そもそも化粧品に義務付けられている全成分表示とは、消費者が体質などに合わない成分があるか否かをチェックして購入できるようにすようと、国が定めた制度です。この制度を裏返せば、消費者に自己責任を負わせたということです。それにもかかわらずに既述のように、化粧品の雰囲気のみで購入を決めてしまう方が、決して少なくないのが実情です。
以上のように少なからずの日本では、消費者の安全のために国が設けた制度(思いやり)さえないがしろにしてしまうような消費者が、決して少なくないのが実情です。みずから安全確保に関する自らの努力をせず、ただ単に天然由来か化学合成かでふるいにかけたり、パッケージの雰囲気だけで安易に決めてしまうのです。このようなことを書き連ねれば、少なからずの消費者の方々からお叱りを頂戴するかもしれませんが、自らが自らの安全を確保すべきでしょう。今世紀になって、お肌が元通りにならない化粧品事故も発生しています。そしてひどい場合には、お肌だけにとどまらず、化粧品成分で体内を侵された重篤な事故も発生しています。それを肝に、銘じるべきでしょう。
このような日本の状況下で、もし大規模なオーガニックコスメ認証制度ができたら、健康被害が続出することが安易に推測されます。その意味で農林水産省がオーガニック認証制度を農産物と農産物加工品にとどめているのは、正しい判断だと思われます。ですから初回記事の冒頭のような、日本は決して日本はオーガニックコスメ後進国などではないでしょう。むしろ日本の行政は消費者の安全を第一に考え、危険性を察知して国民の安全を守っていると、容易に推察されます。
このように日本の消費者行政は、アメリカよりはるかに高いレベルといえましょう。そのような賢い日本の消費者行政だからこそ、USDA認証オーガニックコスメのような制度の弱点や問題点を精査した上で、導入/創設しなかったと考えるのが妥当でしょう。アメリカのUSDA認証オーガニックコスメが引き起こしている惨状を見れば、日本は決してオーガニックコスメ後進国なのではないと断言できるでしょう。
なお、だからといって、USDA認定オーガニックコスメは、危険なメーカーが作るというわけではありません。弊社もできれば、農薬などの危険性から隔離された、安全性の高いオーガニックコスメを企画・販売したいと思っております。安全なオーガニックコスメというのは、人により違ってくるということです。たとえばアレルギー体質であれば、ローズマリーエキスを配合した化粧水やコスメを使用すべきでなないといった具合です。
問題は、消費者が天然由来100%であれば安全と信じ込むことと、天然由来100%だから安全と宣伝するメーカーや販売者の行き過ぎた手法でしょう。消費者の皆さんが、本物のオーガニック化粧品が欲しいとお感じであれば、オーガニックコスメ認証マークなどはなくとも、全成分表示やパンフレットをみれば事足りるはずです。各美肌成分についてさらにお知りになりたい場合は、インターネット上でも調べることも可能であり、またメーカーや販売者に直接確かめることで、充分可能でしょう。
これらの情報が、皆様の安全なコスメライフの一助になれば幸甚です。(USDA認定オーガニックコスメ連載記事終了)
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