すっかり通勤の日々になっている。

何故かと言うと、
先日、
意味の無い在宅ワークが多すぎると、
監査から注意を受けた」
と人事部から言われたからだ。

母が入院してしまった今、
確かに在宅ワークをする意味が
無いのかもしれない。

とは言え、面会時は多くの人と接してないか、
などの確認をされてから面会になるので
ワタシとしてはできる限り、
面会の前日は在宅ワークにしたいのである。
だから意味が無い訳では無いのだ。


でも、そう言われてしまえば
従うしかないしがないサラリーマン
(サラリーウーマン赤ちゃん泣き)。
満員電車ニモ負ケズ、
5キロ越えの荷物ニモ負ケズ、
通勤している。


そんなおしくらまんじゅうの通勤電車の車窓から、
ある回転寿司屋の看板が見えるのだが、
その看板を見る度に(毎日)、
鼻の奥がツンとなる想い出がある。


それは今からもう20年程前のことだろうか。
母とその回転寿司屋に入ったことがある。
通された席はカウンター席。
混んでたこともあったためか
今では思い出せないが、
その席に素直に座った。
今だったら絶対テーブル席にして欲しい、
と伝えただろうが、
当時のワタシにはその配慮がなく。
母は背がとても小さいため、
カウンター席のハイチェアーに座るのに
一苦労した。

やっとのことで座り、
目の前のお皿を眺め、
流れくる皿を眺めていた。

やはり母の目線からは
寿司レーンが少し高く、
あまり見えないようだったが、
ワタシはそんなこともあまり気にせず、
自分の取りたいものだけ取っていた。


母の好きないかの握りが流れてきて、
母が取ろうとした時、
皿が斜めになってしまい、
にぎりが床に転げ落ちてしまった。


ワタシはそれを広いあげ、
母が目の前にいた板前さんに
「すみません、落としてしまいました」
と皿と寿司を差し出した。

するとその板前さんは
怖い顔で「ちっ」と舌打ちをし、
母の差し出した皿と寿司を奪うようにして
奪い取ったのだった。


母の驚きつつも済まなそうな顔と
板前さんの怒りの顔が
今でも忘れられない。



板前さんからすれば
一生懸命握った寿司を
粗末に扱われた感があるのだろう。
それもわかる。

それ以上に、
「このクソ忙しい時に、
握った寿司を落としやがって‼️」
という思いがあったのかもしれない。


ワタシにとっては、あの時の寿司屋の
表情や態度がショックすぎ、
そして、母の悲しそうな顔が
悲しすぎて、
20年以上経った今でも、
その寿司屋の看板を見ると
思い出して、ちょっと涙が出てしまうのである。


あぁ、
あの板前さんは今どうしているか。

ワタシはその回転寿司には
それから以降、全く行っていない。
そして、全く行く気もないのである。



サトエダ