難民(Refugees)と呼ばれる人たち その1 | NZらいふ:ニュージーランド生活情報、日々の出来事、そして子育て

NZらいふ:ニュージーランド生活情報、日々の出来事、そして子育て

案ずるより産むが易し(?)の精神と、楽観的な性格でNZ移住23年。無計画なワーホリ時代を経て、多種多様の仕事を経験。2012年に乳がんにより全摘、抗がん剤、放射線治療を受けました。NZの医療システムについても書いています。
ぷらす、子育て奮闘記!

知らない方も多いんですが、毎年6月20日は、World Refugee Dayです。

Refugees=難民って、日本人にはあまり馴染みがないと思います。
私が子供の頃、カンボジア難民の船が不法漂着して、乗っていた難民たちが次々と捕まって強制送還される、というニュースが何度かあった事は記憶にうっすら残っていますが。
つい近年まで、日本は難民を受け入れてませんでしたしね。

難民について調べてみると、面白いことに気づきました。
ウィキペディアで、Refugeesを検索してみると「難民とは何ぞや?」ということがまず大まかに書かれています。
英語版では:

Refugee=難民とは、民族、宗教、人種への差別や迫害、政治思想への弾圧、戦争などの理由で自国から逃れた人又は、強制的に追われた人を指す。

と書いてあるのに対し、日本語版になると:

難民は、対外戦争、民族紛争、人種差別、宗教的迫害、思想的弾圧、政治的迫害、経済的窮困、自然災害、飢餓、伝染病などの理由によって。。。。。

増えてるんですけど?

経済的窮困=貧乏だから、という理由で国連が難民と認めるとは思えない。
経済的にもっと良い生活ができる可能性を求めて、他の国に移り住む事は「移住」で、その選択をした人たちは移民であって、難民ではないと思うんですが。
独自の解釈なんだろうか?日本語版は。。。

 
国連が、と書いたけど、それは1951年にジュネーブで難民条約を国連全権会議で採択して以来、難民の定義がそこに定められているんです。
それによると:

人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及びこれらの事件の結果として常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの。

震災のあと、日本からニュージーランドに難民として避難することはできないか?という問い合わせが何件かありました。
自然災害による被害で、住む場所を失った、といった理由では上記の難民条約の定義に当てはまりません。
住む場所を失ったうえ、自国が保護せず迫害をうけるといった事実は、日本の震災の場合にはなかったから。

難民の支援活動の監督をするのが、国際連合難民高等弁務官事務所=United Nations High Commissioners for Refugees(長いのでUNHCR)です。
世界中にはUNHCRの管轄する難民キャンプがあります。
そこには去年の数字で、約1,300万人の認定難民が生活しています。
更に、約500万人が中近東に点在する60か所の難民キャンプに避難しています。
難民キャンプで生まれ、キャンプの中しか知らない難民たちが何十万といるんです。

ニュージーランドは、UNHCRとの合意の基に、年間750人の難民を受け入れています。
ニュージーランド移民局の担当者が難民キャンプに出向き、そこで難民家族のインタビューをし、ニュージーランドに迎える難民を選びます。
選ばれた幸運な難民家族は、そこで永住権を発行され、ニュージーランドまで移民局のエスコートでやってきます。
到着後は、南オークランドにある難民受付センターで健康診断を受け(健康に問題があっても永住が拒否される事はありません)、英語の勉強はもとより、スーパーマーケットでの買い物実習といった、生活に必要な知識を6週間にわたって学びます。

その間、家族の生活する住居が用意され、必要な家具や電化製品も調達されます。
そして、専属のソーシャルワーカーが6か月間、必要な補助をすることになります。

私は以前の仕事で、難民としてニュージーランドにやって来た人たちと話す機会がたくさんありました。
中には、難民の権利を盾に、かなり傲慢な態度の人もいましたが、多くはニュージーランドに来られたことにとても感謝している人たちです。

また、ニュージーランドでの生活が理想と大きく違って、経済的にも苦労している移民が「難民ばかり優遇されている。移民として移住するより難民として移住したほうがいい生活ができるじゃないか!」という不満も何度も聞いたことがあります。

確かに、永住権を持って入国し、家も必要な生活用品も揃えてもらえる。
困ったことがあれば、担当のソーシャルワーカーに電話して来てもらう。
難民センター滞在中に、銀行口座の開設も、生活保護受給の申請も全部やってもらえる。
自国や難民キャンプに残された親族をニュージーランドに呼び寄せる条件は、移民が家族を呼び寄せるよりずっと緩い。
専門学校の英語コースも無料で通える。

確かに、物質的な事だけを見れば優遇されている。

けど、実際に難民から自国での迫害や、キャンプまでの旅、キャンプでの生活といった話を聞いたら、彼らがうらやましいなんて爪の先ほども思えないよ。


数年前に仕事で、World Refugee Dayプロジェクトとして難民のストーリーを小冊子にして発行したことがあります。
その時に、ビルマからの難民女性にインタビューしたんですが、そのお話は第二弾でご紹介します。




にほんブログ村 ←参加していますので、クリックしてくれたら嬉しいです たいよー