「形」という点では、もちろん姿勢の美しさです。
アレクサンダー・テクニークでは余計な緊張のない立ち方をはじめ、様々な姿勢を学ぶことになると思います。余計な緊張のない状態というのは、楽な状態です。そして、自然な状態であり、そのためにとても自然に見えます。頑張っている感じもなければ、気が抜けている感じでもない、その中庸なところというのでしょうか。そして「結果的に」背筋も伸びていて、きれいに見えます。
特に美しさという点では、首の部分が変わると思います。首が長くなるんです。
というのは、多くの人が逆に首を縮めてしまっているか、または頭が前に落ちてしまっており、正面から見た時に「首が短く見えるようにしてしまっている」からなのです。ファッションモデルやバレエダンサーは首が長く見えますが、とても美しいですよね。彼らは「首が長く見えるように」訓練されています。バレエダンサーは頭が上からの糸でつられているように踊るように言われます。そのようにすることで、自分の頭が身体の方に向かってプレッシャーを与えるのを抑制しています。アレクサンダー・テクニークのレッスンでも、少し伝え方は違いますが、自分の頭が胴体に対してプレッシャーを与えないような指示を出すことを学びます。これは、既に加えられてしまっている余計な緊張であり、それを抑制するための指示なのです。この余計な緊張をとることで、首もラクになるのですが、その上で首が長くなるんです。首が長く見えることで、美しく見えるのは、プロポーションの関係なのか、その理屈はわかりません。ぜひ周りの方をみてみてください。首がすっと長い人いませんか。逆に首が短い人がいませんか。その人たちを比べてどう思いますか。この辺は理屈抜きで理解していただけるのではないかと思います。
この背筋が伸びた姿勢になること、首が長くなることを通じて、美しい形に近づけるのです。
最後に「質感」です。これには2つ挙げられると思います。
上記でも少し触れましたが、アレクサンダーのレッスンでは、余計な緊張のない状態を学びます。そしてそれは人間の自然な状態なんです。もっといえば、我々が小さい時の身体の姿勢とか動きに近いのです。確かに、細かい指や手の動きが決められた作法のような作られたものではありません。しかし、見る人はその動きや姿勢を自然に感じられるのです。このたたずまいの自然さこそが「質感」としての美しさだと思っています。
そして2つ目の点では、もっと直接的に質感に影響を与える可能性があります。
皮膚のつややはり、血色、髪の毛の質の改善です。なぜそれが得られるか。それは、呼吸や血行が改善されるからです。皮膚の状態や髪の毛は、身体全体の調子のバロメーターです。アレクサンダー・テクニークのレッスンでは、肩こりや腰痛などの慢性的な痛みが改善します。私のように長年の頭痛も状態がよくなったりもします。それらは身体の使い方を通じて、余計な緊張が減り、身体の全体的な機能がよくなるからなんです。創始者のアレクサンダー氏は「身体の使い方が機能に影響をする」と言いました。頭が脊椎(胴体)にプレッシャーを与えている状態というのは、呼吸だけでなく、内蔵機能などにも影響を与える可能性があるのです。呼吸が浅い状態が続くと、酸素不足から皮膚の状態、顔色も変わってくるでしょう。胸が押し下げられて、内蔵が圧迫されれば、消化に影響も出て、再び皮膚の状態にも影響してくることと思います。また、慢性的な痛みが改善することは局部の血流がよりよくなったことになります。それは実際の身体面に加えて、精神面も含めて、身体全体の調子がよくなることにつながり、結果的にバロメーターの皮膚や髪の毛の状態がよくなっていくのです。
ただし、ここに至るためには、それなりの時間がかかるかもしれません。このワークは、あくまでも学びであり、人によってその習慣の強さによっても違うことに留意する必要があります。上記で示した「自然さ」と「皮膚・髪の毛の質の改善」という点で、質感の美しさにつながると思います。
美しさというのは、他にもまだまだ様々な要素があります。もちろん、化粧や髪型、服装などで付け加えていく美しさもあります。その人本来のプロポーションの良さなども当然あります。ただ、私がここで触れたかったのは、美しさは先天的なものだけではなく、また付け加えていくだけでもなく、後天的に「身体の使い方」を通じて磨いていくことができるものであるということです。何よりも、まず自分自身で既に余計に緊張を与えてしまっていないかに気づいてもらえることがスタートです。そこに気づくことで、美しさも含めて色々と変われる可能性があるのです。
私はレッスンで、生徒さんが美しいと感じられるときが多々あります。これからもこうした時が訪れるのを楽しみにしています。

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