主人が国に帰ってから初めて

わたしの両親がうちに来た。

 

 

 

 

 

主人が帰国してから4日目のこと。

 

 

 

 

ちょうど両親が来た時

主人からまた思い出の写真が10枚くらい

送られてきた。

 

 

 

 

両親もいつものように

最初に主人の具合を気に掛ける。

 

 

 

 

父が言った。

「Toddの具合はどうだ?」

 

 

 

 

「知らん。」

「話してるんじゃないの?」

「してない。

送る荷物の話だけ。

今ちょうどLINE来た。」

「もう帰ってくるなって言え。

もうあいつはダメだ。

どうしようもない。

どうしてもやめれないんだろ。

できることはやったよ。

なぁ、母さん。」

「そうだねぇ。」

 

 

 

 

 

母が何か言いたそうにしているので

わたしたちはそれを待つ。

「もう怖くてここに来れなかったのよ。

いい時のToddは大好きなんだけどね。

あなたのことも心配だったし。

パパもわたしを心配させたくないのか

話てくれないから

気になってはいたんだけど。

もう疲れちゃったよね。

ちょっと話聞くだけで疲れるもの。

これじゃあ安心してわたしは

死ねませんよ。

 

せっかく縁があって家族になったのだから

助けてあげたいけど

何してもダメなんだもんね。

Toddのためにと思って

何かしてもさ、

良くならないと本当に悲しいもんね。

 

あなたには普通に結婚して

わたしたちの代わりに

一緒にいてくれる人をって、

それがToddだと思ったのに。

 

家族だったら病気になった時

支えるのは当然。

でもあなたが病気になった時

どうするの?

あなたかが支えるばっかりで。

 

わたしたちは普通に考えて

あなたより先にいなくなるじゃない。

その後、ひとりであんな夫を抱えて

どうするの?

 

向こうの家族が少しでも

助けになってくれるならまだしも

全然じゃない。

 

本当に気の毒で。

あなたたちが大人になって

自分の稼いだお金で

プレゼントくれるのもうれしいけどね、

ただ何事もなくいてくれるのが

一番の親孝行なの。

 

なにも特別なことはしてくれなくて

いいんだから。

わたしたち

高望みしてるわけじゃないでしょ?

 

いくつになったって

あなたはわたしたちの

可愛い子供なんだから。」

と言って泣かれてしまった。

 

 

 

 

「まぁ、

そんなに心配するな、母さん。」

と父は言ったけれど

わたしは何も言えず。

 

 

 

 

 

口を開けばわたしも

泣きそうだった。

 

 

 

 

 

ごめんね、巻き込んで。

両親に主人の病気のことを話すことで

わたしは楽になったけれど

その分両親を苦しめてる。

ごめんね。親不孝者で。

 

 

 

 

大学に合格した時、

ちょっと親孝行した気になって。

社会人になって、

もっと親を安心させた気になって。

結婚して

これからどんどん親孝行するぞ!

って思ったのに、このザマよ。

 

 

 

 

 

 

 

父が、

「今話できるんだったら

俺が帰ってくるな。

って言ってるって言え。

話したくても英語しゃべれないから

LINEもできない。」

と言うので、

主人に返事をした。

 

 

 

 

 

主人から来た返事は、

「まだ助けが必要だ。

病気なだけで

信頼に値しない人間ではない。

病気で人に迷惑ばかりかけるこんな自分でも

悲しいことに変わりはないんだ。

人間だから。

自分のしたことを後悔している。

日本にいた時、

自分が何も努力しなかったと

どうか思わないでくれ。

苦しかった。

頼むから自分の事忘れないでくれ。」

とこんな感じでした。

 

 

 

 

 

主人の言うこともわかる。

病気だから、病気のせいで

すべてはしたことなのだから。

確かに努力はしていたと思う。

良くなるのにも時間がかかるのだと思う。

主人も苦しいのだと思う。

わかる。

わかるんだよ。

でもわたしだって人間なんですけど。

限界があるし。

何にでも耐えられるわけじゃない。

努力したかもしれないけど

せっかく入院したってすぐ出てきたり

禁酒しても長続きしなかったり

もう嘘つかないと言いつつ

嘘を繰り返して。

 

 

 

 

わたしは自分で言った2週間は

せめて入院していてほしかったし

禁酒だってもっと長くしてほしかったし

嘘ももうつかないでほしかった。

飲んでいたとしても

正直に話してくれた時は

怒らなかったやん。

 

 

 

 

お互いに互いのことが理解できず

いつまで話し合っても

平行線。

交わることなし。

 

 

 

 

主人と話し合いをしても

わたしは納得できなくて、

納得するまで話し合いを続けたくても

主人がもう十分だと言って

いつも逃げ出す。

これがいつものパターンで

わたしはずっと解決しないことが

増えていってもやもやもやもや。

 

 

 

 

やっぱりどう考えても

主人がお酒をやめない限り

同じ苦しみが続くわけだから

無理な話だよね。

 

 

 

 

弁護士さんに主人が

帰国したことをメールで知らせた。

すると今後の事が話したいと言われた。

 

 

 

 

 

この弁護士さんは友人の友人なので

気を使ってくれたのか

オフィスではなくて外でランチして

軽く話しませんかと言われた。

ただのランチなので

弁護士費用はいらないとのこと。

 

 

 

 

直接主人とやり取りしても

平行線で終わるので

弁護士を通した方が

話も進むと思ったので

早めに弁護士さんと会うことにした。

 

 

 

 

主人と離婚するには

最低でも2年はかかるので

「今焦って結論を出す必要はないし、

むしろ今出さない方がいい。

時がたてば

もっと見えてくるものがあって

自分にとって大事なことも

はっきりしてくるはずなので

2年を長いと考えず

そこはポジティブにとって

2年もあるからこそ

より納得できる結論が出せると

考えましょう。」

と言われた。