それは、序章に過ぎなかった。

パトカーが、新宿御苑に集結した頃、赤坂見附の、富士山銀行赤坂見附支店で、やはり、3人組の銀行強盗がわずか11分の間にバッグ3つ、約1億円が、盗まれていると連絡が入って来た。

この時代、銀行強盗は、割に合わない犯罪になっていた。

それは、紙幣がほぼ全てスキャニングされ、強盗をしても、使用すれば、すぐに警察に情報が流れるため、盗んだ紙幣は、使える枚数がしれていたからである。

スキャニング機能の無い、旧式の自動販売機で、両替する以外数分で警察に取り囲まれてしまうのだった。

そのため、警察も、たかをくくっていた。

「どうせ、すぐに捕まるよ。」と・・・

そして、第3の犯行が、上野で起きていたと、連絡が入る。

手口、人数、服装、盗まれた金額までほぼ全てが同じ犯行だった。

この、3つの犯行の共通点は、もう一つある。

犯人が、銀行を出た途端、姿を消すことである。

防犯カメラは、隙間なく銀行を監視していたにもかかわらず、犯人は、どうやって姿を消したのか、科学捜査本部でも、原因が皆目見当もつかないまま、1週間が過ぎていた。

1週間が過ぎたにもかかわらず、紙幣は、1枚も使用された形跡が無い状態が続き、犯人の、動機、目的、方法が、全くわからないまま、ついに、第4、第5、第6の、銀行強盗がおきていた。

判で押したような、全く同じ手口。

不思議な事に、怪我人は、1人も出ていなかった。

行員も、守衛も、お客も、犯人の言うまま行動し、誰一人として逆らったり、犯行の邪魔をする者も無く、犯行は、映画の撮影の様にスムーズに行われていた。