青々とした森が延々と広がっている。
遠くに国道や小さな町が見えるが、
他は何も見えず、鳥や何かの動物の鳴き声だけが
聞こえる。静かな森だ。
しばらくすると、ブォ~っという車の音が近づいてきた。
普通の車の音にしては、強い音だ。
だんだんと近づいて来るにつれ、森の中に細い道が
あるのが見えてきた。
細い道にしては、しっかりと舗装がしてあり、
管理されている道らしい。
くねくねとした道を一定の速度で近づいて来る車は、
どうやら、ジープのようだ。
荷台には、幌がかかっていて、中は見えないが、
助手席には、迷彩服を着た人が見える。
木々が段々と覆い被さるように険しくなっていく。
車の中で会話をしているようだった。
「ねぇ、本当にそんな状態になったの?」
「あぁ、間違いない。曲がった格子や砕け散ったガラスの
写真などが送られてきたよ。」
会話しているのは、男女らしい。たまに顔を助手席の女性に
向けて話している。男はサングラスをかけ、ハンドルを握る
手はグローブをしていた。
「信じられないわ。プログラムは完璧よ。暴走なんて、
ないはずだわ。」
「いい加減、信じろって。重症者もいるんだぜ。」
「・・・」
不機嫌な眼差しで、前を見つめる助手席の女性は、ひざの
書類ケースをコツコツと叩いていた。
同じ迷彩服とサングラスに、帽子をかぶっている。
しばらく行くと頑丈な鉄扉が見えてきた。ゲートのようだ。
扉の前で車は止まった。
扉の右側のポールにテレビカメラが付いている。
運転していた男が降りて、扉の横にあるケース状の箱に
カードを差し込んだ。
何やら操作をすると、扉は音をたてて内側へ開き出した。
車へ戻る男をカメラがゆっくりと追いかけている。
男が戻った車は、アイドリングを解除し、うなりをあげて
奥へ進んで行った。
車がゲートを越えて走っていくと、ギギィという音とともに
ゲートが閉まっていった。
遠ざかり、小さくなって行くエンジン音。
また、静かな森に変わっていった。
どのくらい進んだことだろう。
急にグォーン、ガチャンとギヤを落とす音がした。
車が少し急な坂にかかったようだ。
その先には、大きな岩が見える。
岩に近づいていくにつれ、真ん中がやけに黒く見えてきた。
トンネルのようだ。
トンネルの先に小さな明かりが見えている。
明かりが、トンネルの出口なのだろうか。
車は、そのトンネルの中へ吸い込まれるように入って行った。
グゥアーン、ゴゴゴ・・・。エンジン音がトンネル内を
反響している。
ジープの前から陽が射し始め、急にふわぁっと
あたりが明るくなった。
思った以上に開けた場所のようだ。
ジープが左から中央へ向かう。
ここは、駐車場だった。
正面に大きな白い建物がある。
なんという不釣合いな建物だろうか。
近代的な建物であり、屋上には無数のアンテナが立っている。
ジープは、玄関と思われるガラス扉正面へ横付けして
止まった。
ブルルン、ガタッとエンジン音が消えると席にいた二人が
降りてきた。
女性の方が、ケースを車から降ろすとサングラスを取った。
「・・・。特に何もなかったように見えるけど。」
「いや、事故があったのは、地下だ。ここまで影響は
出ていない。」
「そう。」
あたりを見回しながら、入り口へ向かって歩き出す。
ガラス扉の前には、ゲートにあったようなケースが
見える。男の方が、ケースを開けてカードを指し込んだ。
指が動いている。暗証番号を入れたようだ。
ガチャ。音がした。
「行くぞ。」
二人は中へ入っていった。
ロビーのようになっている左手に受付があり、中の人が
敬礼すると、隣の通路から、白衣を着た男が二人出てきた。
「お待ちしておりました。田中と申します。
どうぞ、こちらへ。」
最初の男が挨拶すると、次の男が女性へ話しかけた。
「お久しぶりです。三村です。」
「あら、久しぶりね。ここに配属になってたの?」
「はい。先生もお元気そうで。」
「ありがと。挨拶はその辺にしておいて、例の状況は、
いったい、どうなってるの?」
「あ、はい。とりあえず、見て下さい。」
白衣の二人に続いて、そのまま、奥へ消えていった。
ガチャン。
扉の施錠音が響き渡った。
遠くに国道や小さな町が見えるが、
他は何も見えず、鳥や何かの動物の鳴き声だけが
聞こえる。静かな森だ。
しばらくすると、ブォ~っという車の音が近づいてきた。
普通の車の音にしては、強い音だ。
だんだんと近づいて来るにつれ、森の中に細い道が
あるのが見えてきた。
細い道にしては、しっかりと舗装がしてあり、
管理されている道らしい。
くねくねとした道を一定の速度で近づいて来る車は、
どうやら、ジープのようだ。
荷台には、幌がかかっていて、中は見えないが、
助手席には、迷彩服を着た人が見える。
木々が段々と覆い被さるように険しくなっていく。
車の中で会話をしているようだった。
「ねぇ、本当にそんな状態になったの?」
「あぁ、間違いない。曲がった格子や砕け散ったガラスの
写真などが送られてきたよ。」
会話しているのは、男女らしい。たまに顔を助手席の女性に
向けて話している。男はサングラスをかけ、ハンドルを握る
手はグローブをしていた。
「信じられないわ。プログラムは完璧よ。暴走なんて、
ないはずだわ。」
「いい加減、信じろって。重症者もいるんだぜ。」
「・・・」
不機嫌な眼差しで、前を見つめる助手席の女性は、ひざの
書類ケースをコツコツと叩いていた。
同じ迷彩服とサングラスに、帽子をかぶっている。
しばらく行くと頑丈な鉄扉が見えてきた。ゲートのようだ。
扉の前で車は止まった。
扉の右側のポールにテレビカメラが付いている。
運転していた男が降りて、扉の横にあるケース状の箱に
カードを差し込んだ。
何やら操作をすると、扉は音をたてて内側へ開き出した。
車へ戻る男をカメラがゆっくりと追いかけている。
男が戻った車は、アイドリングを解除し、うなりをあげて
奥へ進んで行った。
車がゲートを越えて走っていくと、ギギィという音とともに
ゲートが閉まっていった。
遠ざかり、小さくなって行くエンジン音。
また、静かな森に変わっていった。
どのくらい進んだことだろう。
急にグォーン、ガチャンとギヤを落とす音がした。
車が少し急な坂にかかったようだ。
その先には、大きな岩が見える。
岩に近づいていくにつれ、真ん中がやけに黒く見えてきた。
トンネルのようだ。
トンネルの先に小さな明かりが見えている。
明かりが、トンネルの出口なのだろうか。
車は、そのトンネルの中へ吸い込まれるように入って行った。
グゥアーン、ゴゴゴ・・・。エンジン音がトンネル内を
反響している。
ジープの前から陽が射し始め、急にふわぁっと
あたりが明るくなった。
思った以上に開けた場所のようだ。
ジープが左から中央へ向かう。
ここは、駐車場だった。
正面に大きな白い建物がある。
なんという不釣合いな建物だろうか。
近代的な建物であり、屋上には無数のアンテナが立っている。
ジープは、玄関と思われるガラス扉正面へ横付けして
止まった。
ブルルン、ガタッとエンジン音が消えると席にいた二人が
降りてきた。
女性の方が、ケースを車から降ろすとサングラスを取った。
「・・・。特に何もなかったように見えるけど。」
「いや、事故があったのは、地下だ。ここまで影響は
出ていない。」
「そう。」
あたりを見回しながら、入り口へ向かって歩き出す。
ガラス扉の前には、ゲートにあったようなケースが
見える。男の方が、ケースを開けてカードを指し込んだ。
指が動いている。暗証番号を入れたようだ。
ガチャ。音がした。
「行くぞ。」
二人は中へ入っていった。
ロビーのようになっている左手に受付があり、中の人が
敬礼すると、隣の通路から、白衣を着た男が二人出てきた。
「お待ちしておりました。田中と申します。
どうぞ、こちらへ。」
最初の男が挨拶すると、次の男が女性へ話しかけた。
「お久しぶりです。三村です。」
「あら、久しぶりね。ここに配属になってたの?」
「はい。先生もお元気そうで。」
「ありがと。挨拶はその辺にしておいて、例の状況は、
いったい、どうなってるの?」
「あ、はい。とりあえず、見て下さい。」
白衣の二人に続いて、そのまま、奥へ消えていった。
ガチャン。
扉の施錠音が響き渡った。