前回から間が空いてしまいましたが、前回に引き続き作詞家ハワード・アシュマンについてのブログです。
前回はこちら↓
本日演奏するのは、エイズで多くの友人を亡くしたハワードがアラン・メンケンとともに作った1曲です。
シェリダン・スクエア
Sheridan Square
(ハワード・アシュマン作詞、アラン・メンケン作曲)
前回の記事で紹介したアルバムにはハワード本人が歌った音源が入っている他、アランもコンサートでいつもこの曲を歌っています。
また、日本では海宝直人さんがアルバム『Break a leg!』の中でカバーされています。
まだエイズという病気がよく分かっていない時代、そして性的マイノリティへの偏見と結びついていた時代に、若くしてこの世を去っていった友人たち。
彼らの生きたニューヨークのゲイカルチャーの中心地であるシェリダン・スクエアに捧ぐ鎮魂歌として、ハワードたちはこの曲を書きました。
ついこの前までそこにいた仲間や恋人が次々と命を落としていく哀しみと喪失感、これからもっと多くの友が、もしかすると自分が死ぬかもしれない恐怖や不条理さ。
そんな辛くやるせない想いと共に、友人たちが確かに生きていたこと、この街で多くの仲間たちが出会い、暮らし、そしてこの世を去ったことの証を、歌という形で遺したいというハワードの強い意志を感じます。
そして最後には、「太陽はきっと昇る」と希望を信じる言葉が綴られています。
寂しげに語りかけるような歌と、不条理な死への怒りや慟哭が溢れるような激しい間奏。
これはハワードの詞に寄り添ったアランの作曲の賜物でしょう。
昨年のアラン・メンケン ソロコンサートでこの曲を聴いた際、私は涙が止まりませんでした。
ハワードが亡くなった何年も後に遠い日本で生まれ、ニューヨークに行ったこともない、80年代のエイズの流行についても僅かな知識しか持たない私のような人間でさえも、当時を生きた人の胸の痛みを感じることができる。
これこそが「作品は生き続ける」ということであり、ハワードがこの曲に想いを書き留めた理由なのではないかと思います。
拙い素人訳ではありますが、自分なりにこの曲の歌詞を日本語に訳してみました。
少しでもハワードの歌詞の魅力が伝われば幸いです。
With a corner to catch the subway
地下鉄を捕まえる街角に
And a corner to buy cigars
煙草を買う街角に
And a corner to wait for the “Times” to come out
『タイムズ』が出るのを待つ街角に
And a corner to lean on cars
車にもたれかかる街角に
It was something just left to Mardi Gras
ちょうどマルディグラのあと残されたもののようだ
When my friends and their friends were there
僕の友達やその友達がそこにいた時間は
But it's getting much too quiet
でもとても静かになっているんだ
Tonight on Sheridan Square
今夜シェリダンスクエアは
I'm sure that it's mean something
きっとこれも何か意味があるんだろう
But it's really too soon to tell
でも本当に急な話なんだ
When somebody's getting famous
この間に有名になっていく人もいたけど
While nobody' getting well
誰も治っていない
And you can send my regrets to the party
それから、パーティーは欠席の返事を送っておいてほしい
I'd like to make it, but just don't dare
そうしたいけど、ただその勇気が出ないんだ
And why is it still so quiet
それで、なんでまだこんなに静かなんだろう?
Tonight on Sheridan Square?
今夜シェリダンスクエアは
Johnny and Steve and Martin
ジョニーとスティーブとマーティン
And a list that goes on too long
他にも、リストにしたらとても長くなるよ
Dannis and Bill and Barry
デニスとビルとバリー
You're the reason I wrote this song
君たちは僕がこの曲を書いた理由だ
Some of the boys have panic
中にはパニックになる奴もいるけど
But none of the boys leave town
誰も町を離れない
They say “We're on the good ship Titanic
彼らは言う、「僕らはタイタニック号の上にいる、
We're gonna sing 'til the boat goes down”
船が沈むまで歌おう」と
And if it ended before it started
そしてもし人生が始まる前に終わってしまうのなら
Well, no one told us that life is fair
誰も僕らに「人生は公平だ」なんて言わないだろう
And why is it still so quiet
それで、なんでまだこんなに静かなんだろう?
Tonight on Sheridan Square?
今夜シェリダンスクエアは
Somebody make a note of this
誰かがこれを書き留めてほしい
You people who note the trends
流行に敏感な君たちが
The wild ones are turning lovers
知らない者同士が恋人同士に変わり
The lovers are turning friends
恋人同士が友人同士に変わる
And if some good rise out of everything
そしてすべての中から何かよいことが生まれるなら
Then the phoenix is rising there
その時不死鳥がよみがえる
In the eyes that are scared, but softer
おびえているけど優しい瞳の中で
Tonight on Sheridan Square
今夜シェリダンスクエアにいる
Johnny and Steve and Martin
ジョニーとスティーブとマーティン
And a list that goes on too long
他にも、リストにしたらとても長くなるよ
Dannis and Bill and Barry
デニスとビルとバリー
You're the reason I wrote this song
君たちは僕がこの曲を書いた理由だ
When you carry a load like we do
君が僕らのように重荷を背負って歩む時は、
What's another few pounds to share?
僕らも一緒に背負おう、もう少し重くなっても変わらないさ
We can make it until the sun comes up
太陽が昇るまで、僕らは歩んで行ける
And it will
そして太陽はきっと昇る
Over sheridan square
シェリダンスクエアの上に
