薬で病気は治らない
発行所 (株)みき書房
著者 丹羽靭負(ユキエ)医学博士
昭和37年、京都大学医学部卒業。医学博士。丹羽免疫研究所所長。土佐清水病
院院長。
発癌の大きな原因のひとつである活性酸素とその防御酵素であるSODの研究を
臨床家として国内はもちろん、世界的にも最も早く手掛け、この分野の研究の世
界的権威。
研究論文は国際医学雑誌に数多く発表させている。国内ではベーチェット病や
リューマチ、アトピー性皮膚炎や数多くの癌の治療、研究に従事し、多くの難病
・癌の原因を活性酸素の異常から解明し、これらの治療に自然の植物穀物等から
独自に開発した副作用のない治療薬の製造に成功し、大きな治療効果を上げてい
る。
最近では、遺伝子レベルの研究から難病を解明しつつある。
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A 医療の通大評価か過ちのもと
最近、薬の副作用、医原病、薬品公害等々が、新開記事を賑わし、また、事実、
私達の身の周りにも、薬の深刻な副作用の問題が出現してきています。
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今、よく考えてみますと、科学の最先端をいかれる研究者は、非常に生きものの
成長、活躍()を強力に抑制、あるいは殺してしまうような、恐ろしい副作用の
強い化学薬品を開発され、その開発の矛先はとどまるところを知らず、ますます
その”切れ味”は鋭くなってきています。
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ただ、現在の薬品公害の現状を見つめてみる時、ただ単に研究の最先端の学者さ
ん達のみが非難されるべきではなく、一般の皆さんの(特に日本人の場合)”お
医者さん、薬、あるいは現代医療”に対する考えの甘さが、この薬品公害の大き
な原因の一つになっていると思わざるを得ません。
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皆さんは白衣姿のお医者さんを見れば、“素晴らしい、頼もしいお医者さん”と
思い、”この先生にかかれば、なにもかも治して頂ける”“自分の苦痛をすべて
和らげて頂ける”と錯覚してしまっているのです。
こういう、患者の医師に対する憧れにも似た信頼感は、確かにある意味では医師
の治療に効果を増幅し、患者の病気の経過にとっても、よいことです。ただ、こ
れからお話ししますように、現代医学の現実は決してそんな甘いものではなく、
皆様がお医者さんにかかって病気を治そう、薬を飲んで病気を治そうとひたすら
それだけを必死になって考え、追求することが、現代の”薬漬け”の社会を生み
出してしまっているのです。
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前述のように、医師の白衣姿を見たら、皆さんは、何でも治してもらえるような
錯覚に陥るのは、理解出来ないこともありませんが、実はとんでもないことで、
私達専門の医師にとっては治らない病気ばかりで、先ほど申しましたように、日
夜真剣にクスリの副作用がなく、少しでもよい治療の方法はないかと、頭を悩ま
している病気ばかりなのです。
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慢性関節リウマチもそうです。毎年六月頃リウマチ学会が開かれ、三年に一度は
国際リウマチ学会も開催され、全国、全世界の何千人というお医者さんや研究者
が集まり、リウマチの治療について新しい報告、研究が発表されています。
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しかしながら、リウマチの治療は、何と、出た痛みを止めているだけであり、リ
ウマチの痛みが出なくなるような治療法は世界中どこに行ってもございません。
一〇年、二〇年、手や全身の関節が腫れ上がり、”痛い、痛い”と言って苦しみ
、お医者さんに行って“治してもらおう。治してもらおう”と通っておられます
が、完治方法はないのです。
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ただ、このステロイドは全ての反応を抑え、病気を治しているのではなく、症状
を抑えているだけなのです。
麻薬以上に効果がり、患者は使用後、直ちに治ったような錯覚に陥ります。
ただし、それは症状を抑えているだけで投薬を中止すれば元のモクアミに戻りま
す。
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また、このリウマチの薬(痛み止め)は前述のステロイド系でなくても非常に副
作用が強く、先ず、胃がやられます。その次に、血液の大事な細胞がやられます
。
リウマチの治療をしておられるお医者さんは、そのことをよくご存知ですから、
一年か二年すれば薬を変えて、副作用の出現を未然に防止しようと一生懸命にな
っておられます。
また、この副作用の強いステロイドではない、一般のリウマチ治療薬では、痛み
を十分抑えることが出来ず、患者の増幅する痛みの訴えに追い詰められて、多く
のお医者さんは前述のように、命を奪う病気でないリウマチの患者さんに、恐ろ
しいステロイドを投薬してしまいます。
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皆さん、要するに、大半の病気が完治せず、現代医療でも大半の病気が、どこに
行っても対症療法がほとんどないのです。現実は非常に厳しいのです。チルチル
ミチルの話ではないけれど、医学の理想郷はほど遠いのです。
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以上のように、高血圧、糖尿病、リウマチ、嘆息の四大疾患を代表的に挙げまし
たが、この四大疾患以外にも、現代医学では完治出来ない病が大半で、対症療法
でなんとかその場をしのいでいるのが現状です。
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A 化学薬品の無惨な犠牲者
これまでのところで、化学薬品の恐ろしさは、よく理解されたと思いますが、私
が最近経験した二人の恐ろしい実例についてさらにお話しします。
若年性慢性関節リウマチという幼児期から発症するリウマチの難病があります。
最近続けて二例経験したのですが、いずれも二、三歳の発症時から、一日三錠の
ステロイドを内服させられ、私の所に来られましたつ診察室に入って来られた時
は、お二人とも、幼稚園の園児かと思ったのですが、カルテの年齢を見ますと、
一人は大学生、一人は高校生でした。
身長はお二人とも幼稚園児並み。骨のレントゲン撮影をしてみますと、七〇、八
〇歳の老人のようなボロボロになった骨の写真でした。
先ほど第一章―Bの付記印で申しましたように、ステロイドは特に乳幼児と老人
に悪いのです。
この二例を、本稿の化学薬品の犠牲者の代表として簡単に挙げておきます。
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2 安全と言われた金製剤で多数の死亡事故が
(慢性)間接リウマチという病気があり、これも、すでに述べましたように、現
在存在する治療薬は、恐ろしいステロイドも含め、皆痛み、腫れなどを一時的に
押さえる薬だけで、しかもステロイド以外の消炎、鎮痛剤では、なかなか手強い
患者が多く、治療に手を焼く病気です。
また、このステロイド以外のリウマチの高炎症剤でも、いつも私が強調している
いますように、胃腸障害を始め、血液毒となって副作用がよくみられます。
ですから、何とかよい薬はないかと、研究陣が必死になっていろいろとリウマチ
のための新薬を研究開発してさがしています。
そこで、いまから二〇年以上前、“金”がリウマチに使うと効くという報告がさ
れ始め、リウマチの研究陣の皆さんは、この金製剤に大きな期待をかけました。
その結果、リウマチ治療薬として厚生省より人かされたのですが、著者がこれを
使ってみて、本当に効いたと思う例は正直言って二〇人に一人おればよいぐらい
のものでした。(実際には二〇人に一人も効いていない)。
なぜこんな薬がリウマチに使われだしたかと言いますと、前述のように、既存の
リウマチの薬は、ステロイド以外でも、副作用が強い割に本当に有効なものがな
い(少ない)からなのです。
ところが、いざ認可されて、この金製剤が一般に投与され始めますと、何年か経
って腎障害を発生する患者さんが出現して来たのです。そして、認可後一〇年以
上経って、確か昭和六三年の一朝日新聞たったと思います。
金製剤を投与されたリウマチ患者で、何十人もの人が腎障害で死亡したした結果
が掲載されていました。
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少しでも医学(生理学、生化学)の知識のある人ならば、”金”などを大量に人
体いれることが異常であることくらい充分察知出来ることです。
即ち”金”という金属類は、体内に極く微量に存在しますが、これを外から体内
に多量に入れれば、生体にとって不自然で、好ましいことでは無く、腎臓から排
泄しようとするのが当然の生体の自己防衛、自浄作用なのです。
余分な金を、どんどん腎臓から排泄しようと一生懸命腎臓が働きますが、何年も
大量の金が体内に入ってくるため、充分排泄しきれなくなり、それが腎臓にひっ
かかって腎臓がいためつけられてしまうのです。これは至極当然のことで充分予
測出来ることです。
また、これを使用するお医者さんは、二〇人に一人効いた”おいしい”経験があ
るため、あとの一九人にも、ひょっとして効くのでなかろうかと、効果のみられ
ない患者に“これでもか、これでもか”と、いった具合に何年~何十年もも金製
剤を投与し、腎障害を惹起させてしまう結果になります。
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“なぜこんな薬がリウマチの薬として?”と皆様は当然疑問を感じられると思い
ますが、何度も申しますように、安全で有効な薬品かない(少ない)ために、こ
ういう治療法が考えられてくるし、また患者さんの治療に当たる現場のお医者さ
んも、”リウマチを何とかしなければ”という願望が強いため、長期、大量投与
という結果になってしまうのです。
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“金製剤”の事故の教訓
この“金製剤”の事件の教える大切なことは、特に新しく認可された新薬の副作
用は、このように、使用されてから、何年~何十年経過してから判ってくる(学
者さんや研究者、あるいは厚生省の統計として出てくる)ことが多いということ
です。
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インターフェロンにしても金製剤にしても、認可される前には急性毒性、慢性毒
性の動物実験を義務づけられていますが、先ほど説明しましたように、慢性毒性
試験もせいぜい長いもので一~二年です。
これ以上かけて実験させ一〇年以上も許可を得るための実験が長引きますと、先
ず動物は人間のように寿命が長くなく、マウスはそんなに長く生きられませんの
で、長期投与の実験は不可能です。
また、非常に長期の実験は(今でも新薬一剤の認可を取るのに一〇〇億円以上か
かると言われており)製薬会社が財政的にお手上げになってしまいます。
ところが人間のリウマチとかC型肝炎は既述のよう一〇~二〇年治らず持続し、
ずっと治療を続けなければならず、何十年もクスリの投薬を要しますし、そのよ
うな長時間の実験で認可になった薬はないのです。
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以上で、薬、特に新薬の恐ろしさが皆様に充分理解していただけたと思います。
金製剤でも何十人の薬害の死亡が、使用されて十何年後に発表されたのですが、
インターフェロンは何度も申しますように、認可され大々的に一般病院で使用さ
れ始めて、わずか数年以内で、“目がみえなくなった”“心臓が止まった”“う
つ病になって何十人もが自殺を図った”という驚くべき報告がたて続けに報告さ
れたのです。
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ところが、この謬原病の全身性紅班性狼瘡や関節リウマチ(重症型)の患者さん
の血液やリンパ球を全部抜き取って新しい健康人の血液と入れ替えたり、謬原病
を発生・増悪させている原因である血液中のリンパ液やリンパ球を除去する(血
液を交換することももちろんこの悪玉リンパ球の交換になるのです)ことを且っ
た交換輸血や、リンパ球透析療法が一部の大学病院や高度先端医療を行う大病院
で行われるようになってきました。
この血漿交換やリンパ透析は、本章―Dで問題にしている副作用の強い危険な新
薬や治療法ではありませんが、このような現代医学の最先端を行く医療に、私は
深い失望を禁じざるを得ないのです。
一体本気で全身性紅班性狼瘡が、慢性関節リウマチが治り切る病気と思ってこう
いう治療を思いつかれたのでしようか?
患者さんの身体の骨髄やリンパ節で病気の原因であるリンパ球が日々作られて血
液中に流れて来るのです。
血液やリンパ球を入れ換えても、二~三週間で再び、新しく体内で悪いリンパ球
が出来てくるのになぜ、こんなことを?
しかもインターフェロンや、交換輸血、リンパ球透析といい、一クールやるごと
に何百万円の高い(点数の)医療費がかかるのです。
厚生省も国家予算の三分の一以上を占めた高騰する医療費を抑制するのにやっき
になっていて、なぜこんな線香火のような治療を保険適用させるのですか?
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次に、以前からやっている治療法ですが、全身性紅斑性狼瘡などステロイド投与
の必要な患者さんに、ステロイドと共に免疫抑制剤という名目で抗癌剤を併用し
ています。
要するに、既に説明しましたように、癌のみならず正常な細胞まで殺してしまう
抗癌剤で、患者さんの体内で悪さをしているリンパ球を叩くという目的で使うの
ですが、当然患者さんの正常な細胞も叩かれます。
この全身性紅斑性狼瘡の場合は、放置すれば生命を奪われるのでやむを得ないと
思いますが、大半は生命を奪われないリウマチになぜ total kilim
g(皆殺し) の恐ろしい免疫抑制剤(抗癌剤)を使うのでしようか?
何度も申しますように、リウマチも何年何十年も治らない病気ですよ。
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一月末、次のような医療訴訟事件が報じられました。関西の某大学病院でステロ
イドを長期投与していたリウマチ患者に免疫抑制剤、即ち抗癌剤メソトレキサー
トを内服させ、肺炎をおこさせ死亡させてしまったためにその大学病院が患者家
族に訴えられました。
私はこの記事を見て、“当然のことだが、とうとう来るべきものが来た”と私の
度重なる警告に自信を深めたのでした。
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何度も申しまは、このような”完治しない何年何十年も続く病気”と”生命を奪
わない)ろしいクスリの使用uに何ら疑問を持たない厚生省を始め、大学の研究
機関、現在の若いお医者さんに深い失望を感じるものです、。
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以前から全身性紅斑性狼瘡などの膠原病でステロイドを長期内服させる場合、ス
テロイドの投与量をなるべく少なくするため、素人の皆様には聞こえのよい”免
疫抑制剤”の名のもとに、抗癌剤、(メソトレキサートやエンドキサン、イムラ
ン、ブレジニン)を併用内服させていましたが、最近富にこの傾向が強くなり、
子供の膠原病にも使用し、さらに、子供のネフローゼにも使われ始めています。
確かにステロイドを非常に長期間内服させるのは問題ですが、この抗癌剤もまさ
に“前門の虎、後門の狼”です。
化学療法抗癌剤の恐ろしさ、そのメカニズムについては、第一章――C―Iで詳
述してきましたが、このステロイドとよく沖用するメソトレキサートなどは、赤
血球、白血球、血小板など大切な細胞を作っている骨髄をやっつける骨髄抑制作
用が非常に強く、特に成長期の子供にはよくなく、確かにステロイドを一時的に
大量に点滴する”パルス療法”(これも全身性紅斑性狼瘡などの膠原病に最近盛
んに用いられています)も恐ろしいですが、メソトレキサートなどは骨髄抑制作
用の副作用で次項にも述べますが、今年になって既に七人の死亡例が出ています
。
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ここで大切なことを申しますが、ステロイドであまり効果がなく、そこへ上記の
抗癌剤を併用してうまくいく確立は、この治療法を推進しておられる先生方の間
でも、概ね一五人に一人であるということが分かっているのです。
何故、患昔さんの尊い生命を賭けてまでこんな低い確率の治療を行うのでしょう
か。
また第一章ーB付記―にステロイドの副作用を含めた作用機序について詳しく説
明しましたように、これは生体の反応をアラキドン酸カスケード(図1)の手前
で抑え、全ての身体にとって反応も抑えてしまうのです。いい加減ステロイドで
長期間身体のよい反応を抑え込んでおいて、その上、骨髄抑制作用(主として大
切な身体の血液を作る作用を抑制する作用)のあるメソトレキサートやエンドキ
サンを併用して身体を叩く。
これでは身体がメチャクチャになって死への道をまっしぐらにに直進する患者さ
んが出現して当然なのです。
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私は、以上のような当然予測し得る生命に関係する恐ろしい治療を、何の躊躇も
なく行う現代医療に非常に強い疑問と義憤にも似た感情を抱かざるを得ません。
確かに本稿の文末(第六章)でも触れていますように、環境がいろんな意味で悪
化して癌も膠原病も増加し、その症状も悪化して、昔使っていたステロイドの量
では、もうどうしようもなくなってきた重症の患者さんが増えてきて、これらの
患者さんを扱う現場のお医者さんも大変苦労しておられることはよく分かります
が、これらのお医者さん達ももう少し冷静になって化学薬品の持つ本質について
、考える必要があるのではないでしょうか。
最近のお医者様は次項で説明します”パルス療法”など、平気でこういう恐ろし
い治療法をやるイヤな時代になってきたものです。
薬で病気は治らない より リウマチ * 医学への過大評価が過ちのもと *リューマチ治療薬 *レントゲンの害