いま僕がいるのは、
夢にまでみた

「混雑の少ない平日の海」だ。
 

当時何もなかった海への道は、
コンビニだらけになっていたが、
目の前に広がる海の景色は

昔と何も変っていない。

 

9月初旬の海は夏のままで、

日焼け止めを塗ったはずの鼻が

またたく間に真っ赤に。

 

20年ぶりに訪ねたサーフポイントで妻と僕は、

テンションを爆上がりさせながらも、

少し感傷的になった。

 

 

 

小学校に通う子どもたちを学校に送り出し、

11時ごろ現地に着いた後、

1時間ほどサーフィンを楽しんでみたが、

筋力の衰えは想像していたほどではなく、
身体は思いのほか動いた。

 

 

 

むしろ問題は、
筋力よりも身体の柔軟性にあり、
「身体がさびつく」という

表現があるがまさにそれ。

 

ガチガチに固くなった腰や股関節は
20代、30代の頃のように

スムーズに動いてくれず、

昭和のロボットのようにぎこちない。

 

 

それでも良さげな波がきたときは、

身体が勝手に動き出す。

 

サーフボードの上で胸をそり、
パドリングで波を追いかけ、
いざテイクオフーー。

 

 

 

 

 

「嗚呼ッ、コレコレ~」

 

 

 

 

 

波と一体化するこの疾走感は、

「夏の海」とひとつになる感覚と同じだ。
 

身体のさび付きも、
体力の限界も超え、
何度も何度も「おかわり」したくなる。
 

「ペンギンのようだ」

失笑を買う僕の波乗りのスタイルは健在で、

妻が休憩を挟むかたわらで、
足をつろうが腰が悲鳴を上げようが、

無我夢中で楽しんだ。

 

こんな風にブレーキが壊れたときほど

事故は起きるものだ。

 

じっさいこの後僕は、

顔までタトゥーの入った

「ちょんまげツーブロック」の

オジサンと、

接触事故を起こしてしまう。

 

 

つづく

 

 

\検索不要で更新記事がすぐ読めます/

フォローしてね

/ブックマークよりも便利です\