案の定、
黒塗りの車から出てきたのは、
とても怖そうなカップルだった。
警備員のおじいさんは、
このこわもてカップルの出現に
明らかに動揺している。
きっと、
さっき注意した人に見られていることを
強く意識しているからだ。
だが僕は何も、
おじいさんに意地悪したいわけではない。
昭和を駆け抜けた勇者の心意気を
確かめたかっただけなのだ。
とはいえ、
こわもての悪漢に返り討ちにされるリスクを
おじいさんに負わせるわけにはいかない。
すぐにおじいさんを
「正義の呪縛」から解放しなくては――。
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退職の経緯などをまとめた
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