⑧仲間外れにされた娘の言葉に泣いた僕
自販機のペットボトル飲料でさえ300円もする「USJ」(ユニバーサルスタジオジャパン)は、僕ら一家にとって縁遠い存在で、別の意味で「夢の国」だった。この日僕らは大きな水筒を人数分だけリュックに詰め、入園前に「昼夜兼用おにぎり」を胃のなかに大量に押し込み、車で何時間もかけて、この「お金持ちのためのテーマパーク」に臨んだのだ。傷心の娘だけでなく、なかばやけくそで息子も連れて行くことになったのだが、いざ最先端のアトラクションに挑戦してみると、近隣遊園地とは内容・スケールともに違いすぎ、「近未来のテーマパークにきた」という印象を受けた。とくにマリオの世界を再現した「スーパー・ニンテンドー・ワールド」は圧巻だ。カラフルな色彩と圧倒的な規模感で、ゲームのなかの幻想的な空間を演出、その完成度の高さには大人の僕ですら魅了された。ただ、園内で販売されるあらゆるものが高級ホテルのごとく高額で、退職後のドケチ生活で培った金銭感覚がみるみる狂っていった。\検索不要で更新記事がすぐ読めます/退職の経緯などをまとめた連載の第一話はこちら⇒第一話(全28話)