
さりげないのにうっとりするような優しいエピソードが積み重ねられ、三人の心の変化が静かに伝わって来る。特に耀子の心の成長には胸が熱くなる。家庭教師の青井が耀子に教えた言葉「自立と自律」。「自立」自分の家庭教師 口コミ 力で立つ。顔を上げて生きること。「自律」美しく生きる。新しい自分をつくること。閉じていた目を開いて、新しい自分になると決めた耀子の未来が見てみたい。たったひとつの記憶の中に逃げ込んでいた耀子は常夏荘で新たな記憶をたくさん更新したはずだ。2013年の今、耀子はどんな記憶に包まれた大人になっているのだろう。背中を撫でてくれた大きな手の感触は47歳になった私の胸に今でも時々蘇(よみがえ)る。年を取れば取るほど過去が遠くにいってしまう。だから余計に愛(いと)しくて泣きたくなる。「自立と自律」を胸に、自分の力で美しく生きて、穏やかな涙もろい老人(新しい自分)を目指したい。いぶき・ゆき=1969年、三重県生まれ。作家。『四十九日のレシピ』は、ドラマ化もされ、話題となった。"
