今村仁司『近代性の構造』講談社選書メチエ。読了。
おすすめ度4
大学受験生は5
難易度3
1968年の革命が問うていたのは、資本主義であれ、社会主義であれ、近代性なのであろう。
近代がもたらした恩恵は評価しつつも、近代がつまずいた原因を探るべく、近代の発想、問いを思想史的に考察する。
そこから明らかになるのは近代の発想が機械論的世界像、方法主義、生産主義であること。そして、そのような発想を可能にするためには円環する時間から直線的時間へと意識を変えねばならない。
このとき、近代は自分が企てものを合理的に計画し、行動することで、科学を発展させ、自由で自律的な個人の集まる市民社会を準備し、資本主義を展開した。
だが、それは19世紀の段階で矛盾が現れていた。その矛盾を解決すべく、社会主義、共産主義、ナチスといった様々な思想、運動が生まれた。
だが、いずれも近代の発想たる「企て」から逃れていないのが明らかになるだろう。
では、この「企て」という近代の発想は何が問題だったのだろうか?
これは「人間」という境界線をどこに引き、何を「人間」から排除ているのかという問いにつながってこよう。
この問いに対する今村の解答は他の著作をあわせて読んでじっくり考えていきたいものだ。
ちなみに、本書は大学入試現代文に頻出のテーマを各思想家のエッセンスを学びつつ、読むことができるので、受験生におすすめの一冊。
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