あるおっさんに、

「伸びしろはありますか?」

と聞かれた。

 

「習い続けるつもりがあるなら

伸びしろは、あるだろう」と思った。

 

結局、語学もピアノも

私の、浅い経験から思うことは、

 

へこたれない。

しぶとい。

人から指導を受ける。

 

それだけで、伸びる。

素人が楽しむ範囲では。

 

プロの世界は知らない。

 

あくまでも、

「趣味のレベル」でしかない。

 

だけど、結局のところ、

思うようにいかなくても、

飽きずに、

しぶとくやる精神力があって、

 

できなくて、

恥ずかしい思いをしたり、

悔しい思いをした時に、

「それなら、やめよう」と

思わない打たれ強さがあって、

 

ダメな所を言ってくれる人に、

定期的に聞いてもらっていれば、

伸びる気がする。

 

まぁ、そんな当たり前のことは

おいておいて、

 

おっさんは、

どうして、そういう質問を

したのだろう?

と思った。

 

例えば、

難易度の高い曲を

バシバシ弾いている人が、

そういう気持ちになるのは

なんとなく、わかるけれど、

 

コントですか?と

言いたくなるような

ヘタクソさで、

 

初心者用の曲を

さらに、左手伴奏を

簡単に弾けるように

私が書き換えて、

 

よっこらよっこらと、

「沈みしろ」がないほど

沈んでいるというのに、

 

「伸びしろ」以外に、

何があるの?

 

もう、「沈みしろ」はないほど

沈んでいるので、

伸びるところしかない。

 

うちの猫は、

排泄しただけで

私から褒められているが、

 

おっさんは、

付点四分音符のリズムが

手拍子できただけで

褒めてやるレベルだ。

 

こういうことを

私に聞く人は、

たぶん、私に甘えている。

優しい言葉が欲しいのだろう。

 

「伸びしろだらけですよ」

と、優しい笑顔で

答えてやった。

 

「だって、沈みすぎているから」

という理由は、黙っておいた。

 

私は、時々、やさしい。