「優勝劣敗」という言葉がある。

 

強い者が生き残り、

弱い者が衰え死に絶える。

 

能力が勝る者が勝ち残り、

劣る者は負ける。

 

だけど、

大人の習い事は、

違うことが多い。

 

音楽も、語学も、

劣るものが、生き残ったり、

劣るものが、成長することが

多い。

 

15年以上前に

語学を習いに来た

若い男性がいた。

(今も来ていて、

若い男性はおっさんへと

変貌した)

 

若者は、

「自分は、工業高校出身で

英語もろくに話せなくて、

頭も悪いけど、

スペイン語を

習得することはできるのか?」

と、私に聞いた。

 

私の発言ではないので、

工業高校をバカにしているとか、

高卒をバカにしているとか、

そういう批判はしないでくれよ。

彼自身の発言だから。

 

その人は、自分を

「劣側」だと自覚していた。

 

その時から、

15年以上経った今、

彼は、会社を辞めて、

スペイン語を活かして独立し、

社長という肩書をぶら下げ、

 

南米に、車の部品(タイヤなど)

を輸出したり、

買い付けに来る南米人を

相手にする仕事をしている。

交渉で使えるほど、

言語を話せるようになった。

 

その15年あまりの間に、

「英語通訳の仕事をしていました」

「外国語大学トルコ語学科卒業です」

「ドイツに10年以上駐在していました」

などなど、

 

多言語(他言語)を話せる人間が、

何人も、

新たな言語を求めて

やってきたが、

 

「英語ではこうなんです」

「ドイツ語では、こうなんです」

と、

知っている事への郷愁ばかりで、

上達の気配がない場合が多い。

 

彼らは、自分を、

「優側」だと自負していたのに。

 

私は、人を選んで発言する

卑しい人間なので、

 

多言語を話せる人には、

ちょっと遠慮がちに、

優しい指導をしていたことが、

伸びない要因かもしれない。

 

ピアノでは、

大人から始めて、

職業にできた人はいないが、

 

へんちくりんの

ぽんこつで、

私に、ボロカス言われている

人間の方が、

なぜか、レッスンが続く気がする。

 

やはり、続けていれば、

ポンコツでも、

上手になるのは、

当たり前田のクラッカー。

 

優の側の人間より、

劣の人間の方が、

プライドが低いので、

私は、コントロールしやすい。

 

自己肯定感、

生徒をコントロール。

 

時代に逆行していることは、

わかっている。

 

だけど、人は、

自分よりも、「上」だと

思う人間の言うことしか聞かない。

 

講師を尊敬できないと、

たぶん、

習い事は伸びない。

 

だから、

劣勝優敗もある。