私は、自分が「導入期」に、

どこに苦労したのか、

覚えていない。

 

メトロノームにあわせて、

片手で、四分音符をおさえる

 

とか、

 

左手で和音を押さえながら、

右手で、付点四分音符を弾くとか、

 

そういう次元の話だ。

 

こういうことは、

自分も、はじめは

できなかったのだろうか?

 

こんな段階で、

苦労した記憶がないので、

 

爺さんや、おっさんが、

単純なことができないことが、

実は、不思議でならない。

 

子供の小さな手が、

思い通りに動かないのは

見慣れていて、違和感はない。

 

大人の大きな手が、

あんなに不器用なことに、

驚いてしまうのだ。

 

そして、

理解できない動きなので、

見ていて、

気持ち悪くなってくる。

 

視覚的にも、

聴覚的にも、

酔いそうになって

吐きそうになる。

 

全然、自分と違う感覚で、

ブレーキを踏む運転者の

助手席にいるような気持ちになる。

 

指番号やリズムなど、

数回指摘しても、

一向に治らないと、

 

いらいらしすぎて、

 

いつか、

舌打ちしてしまいそうで

自分が、こわい。

 

私は、

パワハラ気質、

モラハラ気質であることを

自分で理解しているので、

初心者に対して、

熱心に指導しないことを

心がけている。

 

すべてのおっさんや、じいさんから

言われたわけではないけれど、

 

前にも書いたように、

 

「そんなに上手になりたいわけじゃないんで」

と言われたことを、

心に刻んでいる。

 

当時は、

言われてイラっとした言葉なのに、

 

今は、この言葉が、

イラっとした時の

気持ちを散らす役割を

果たしてくれている。