私は、30代の頃、

専門学校で、非常勤講師として、

保育士の卵たちに、

ピアノを教えていたことがある。

 

他の学校のことは知らないが、

その学校は、

私のようなピアノ講師が

4人いて、

 

それぞれ受け持ちの生徒が

決められていて、

アップライトピアノのある個室で

レッスンしていた。

 

生徒のレベルの応じて、

①バイエル、ブルグミュラー

ソナチネのいずれか。

(音大のピアノ専攻卒業後に

専門学校に入学してきた

ピアノレベルが高い学生も、

いたけれど、

試験課題は、ソナチネからの

選択だった)

 

②童謡などの保育園児用曲の

弾き歌い

 

③リトミック用課題

 

この3つが必須だった。

 

楽譜通りに弾くように

指導しなければならなかった。

 

試験は、

ピアノ担当4人で審査なので、

私だけ、違ったことを

指導するわけにはいかなかった。

 

今、

現役の保育士たちを

自分の教室で、

レッスンしていて思う。

 

専門学校では、

 

あまりピアノが

得意でない学生には、

 

「楽譜よりも簡単に、

でも、聴いていて

華やかに聞こえる

崩し方(くずしかた)」

 

も、

教えるべきではなかったのか?と。

 

保育士の方々は

楽譜を持ってくる。

 

よたよたと、

楽譜通り弾く。

 

「こんなので、園児は歌える?」

と聞くと、

 

「いえ、私、もっと練習しなくちゃ」

 

朝から夕方まで園で働いて、

帰ったら、自宅に自分の子が、

2人も3人も4人もいて、

それで、休日に、

うちにレッスンまで来て。

 

そんなに追い込まんでも

ええやん。と思う。

 

だからって、

仕事をおろそかにする

ということではなくて、

 

歌の伴奏なんて、

どうとでもなるのだから、

弾きにくい楽譜の伴奏は、

簡単に変えればいいのに。

 

私:「楽譜通り弾かなきゃ叱られるの?」

 

保育士:「いえ、自由です。

でも、どうやったら簡単になるのか

わかりません」

 

右手は、そのままでいいとして、

左手を、その人、それぞれの

得意、不得意に合わせて

書き換える。

 

「楽譜通り」が、

カッコイイ伴奏なら、

頑張ればいいけれど、

アルベルティ・バスの音型ばかりの

くだらない伴奏楽譜も多い。

 

メロディーは

1900年代後半の人が書いて、

 

伴奏は、

1700年代後半の人が

書いたのかい?

と言いたくなるような、

ちぐはぐのダサさ。

 

生活発表会だの、

卒園式だの、

保護者も見に来るイベントは、

保育士の方々も大変だと思う。

 

歌の伴奏なんて、

楽譜通りでなくても

いいだろうよ。

 

そもそも、

元の楽譜の伴奏、ダサいから。

 

そんなダサいものに、

律儀(りちぎ)に

従わなくていい。

 

でも、

レッスン生たちは、

楽譜自体が、ダサい事すら

気付いていない。