そもそも、おっさんや、爺さんは、

ピアノ教室において、ろくでもない。

 

そういうおっさんや、爺さんが、

突然、上達し始める時がある。

 

もちろん、突然上達はしない。

「上達し始める」のだ。

 

どうすればそうなるのか。

 

「自分はできない」と思い知って、

それでも、「続けよう」と割り切った時だ。

 

おっさんや、爺さんは、

なぜか、初心者なのに、

自信満々でやってくる。

 

そして、大人になってから、

ピアノを習ってみようと思う種類の人間だ。

 

こういう人間は、程度の差はあれ、

それなりに、お金の余裕がある。

お金の余裕があるのに、

時間の余裕もある。

そして、年甲斐もなく、

ピアノを弾いてみたいと憧れていて、

簡単にピアノが弾けると勘違いしている

基本的に、おめでたい人だ。

 

私は、そういうおっさん、爺さんに冷たい。

おめでたい人は嫌いだ。

おめでたい人を褒めると、勘違いするので、

褒めたりもしない。

お世辞も言わない。

 

「あんたは、なぜか、自信を持っているようだけど、

全然できていないし、

幼児以下だし、

あんたのピアノは聴くに堪えなくて、

私は、レッスンするのが不愉快だ。

こんなことを言われて、あんたも不愉快だろうが、

初心者のくせに、

弾けるはずのない難しい曲を

持ってくるあんたが悪い。

ピアノをなめ腐っているから、

こんな難しい曲を弾きたいなどと言えるのだ。

基礎もない初心者のくせに、

よくも、そんな図々しいことが言えるもんだ。

ピアノを、

女や子供のやる、ちょろいものだと

思っているんだろう?不愉快だ。」

という内容を

ハッキリと言うときがある。

 

こんなことは、めったに言わない。

 

「もう、やめてもらってもいいかな」と

思ったときに言う。

 

それでも、ピアノを続ける人が多い。

なぜか、そのあたりから、

突然、私の指導に耳を傾けるようになり、

ちょっとずつ、上達し始める。

 

おめでたい人には、パンチをしてやると、

上達し始める。