『もしも徳川家康が総理大臣になったら』 コメディ映画と言って笑っているだけではダメですよ! | 悪食のシネ満漢全席

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ろくに情報知らぬまま、当たり屋みたいに突撃して、 しょーもない感想を言い合って、備忘録代わりに残します。 かなりの無責任、言いたい放題、無礼千万をお許し下さい。

悪食 80点
今年 75本目

監督 武内英樹
原作 眞邊明人
脚本 徳永友一
出演 浜辺美波
   赤楚衛二
   GACKT

   高嶋政宏
   江口のりこ
   小手伸也
   美月ありさ
   竹中直人
   野村萬斎

   音尾琢磨
   梶原善
   小藪千豊
   酒匂芳


2021年に出版された同名ビジネス小説を原作に、AIで復活した偉人達による最強偉人内閣のコメディ映画。
渋谷TOHOシネマズへ。

鑑賞結果、コメディ映画と言いながら、メッセージ性は十分‼️悪食はかなり好きです‼️

ここからネタバレ満載でいきますからご注意を⁉️



政治不信の風が吹きまくる日本にコロナが蔓延して政治はますます混乱に。
そんな時に総理大臣がコロナで亡くなってしまった。
この窮地を救う為に政府が考えたのが、偉人達をAIで復活させ、偉人内閣に日本の政治を任せるウルトラCを打ち出した。
そして復活した偉人達は、総理大臣・徳川家康(野村萬斎)、経産大臣・織田信長(GACKT)、財務大臣・豊臣秀吉(竹中直人)、官房長官・坂本龍馬(赤楚衛二)、徳川吉宗(高嶋政宏)、北条政子(江口のりこ)、足利義満(小手伸也)、紫式部(美月ありさ)など。


徳川家康がまず最初に出した政策は日本のロックダウン。自宅からの外出禁止だ。その為の費用として1人50万を支給すると豊臣秀吉。その費用は大企業に国債を買わせるという大胆な政策。織田信長のアイデアだ。
これらの政策は受け入れ難いと国民の反感を買うが、大胆とも言える政策が功を奏して日本は海外とは段違いのコロナ封じ込めに成功した。


そしてロックダウン後の日本経済を活性化させる為に、政府主導で農業の拠点を作り、自給率を上げて国力を上げていった。
各大臣もまたそれぞれの方法で国民に支持されていく。
国力が増したところで、織田信長はバーチャルグローバル商業圏を立ち上げると宣言。令和版、楽市楽座だ。
海外勢はこれに反発。織田信長はその声に反して世界戦略構想打ち出す。
安寧な国を目指す徳川家康と対立構造が出来上がっていった。
そんな時に織田信長が暗殺される。


AIがバックアップごと消されたのだ。国民は徳川家康の策略だと政府批判を起こすのだが、これは日本を手中に入れ、果ては世界征服を目指す豊臣秀吉の策略だった。
それを見抜いた徳川家康は、豊臣秀吉によって囚われの身となってしまう。


各大臣も豊臣秀吉の暴挙に気付くのだが、AIを書き換えることの出来る豊臣秀吉に逆らえなかった。
豊臣秀吉は自分が後継者だと名乗り出て、総理大臣になろうとしていた。


そこへ徳川家康が登場したのだ。豊臣秀吉の暴挙に反旗を翻した石田三成(音尾琢磨)と各大臣の策略だった。
豊臣秀吉は織田信長を暗殺したことを隠しカメラで取られていたのだ。
しかし豊臣秀吉は悪びれない。そして国民に向けてこう言ったのだ。「何も決められない。何も行動出来ない日本人を強力な指導力を持つ1人の優秀な人間が導いてやればいいのだ。国民はそれを望んでいるのだ」と。
その意見に一理あると認めながらも徳川家康は国民に向けてこう話しかけた。
「私は国民を信じている。与えられた情報だけを信じるだけではなく、自分で調べて、自分で考えて、自分の意見を述べる。そんな国民であると信じている」と。
そして国民に大政奉還すると。


豊臣秀吉は悪あがきすることなく自分を消し去った。
こうしてAI偉人内閣は解散した。

総選挙が行われた。各党は明確な政治理念の元に選挙を戦い、国民は70%を超える選挙率で応えた。
日本は変わろうとしていた。
エンド。

という映画です。
基本はコメディとして撮られているのですが、そのテーマはとても鋭く日本を風刺して変革を求めています。
これをコメディとして笑ってるだけではダメですね。原作者の根底にある切なる願いを受け取らないと。

この映画は1人のテレビ記者、西村理沙(浜辺美波)がアナウンサーにしてやるという餌と引き換えに渋々偉人内閣担当記者になるところから描かれます。


そこで官房長官の坂本龍馬(赤楚衛二)と取材を通して関わっていくうちに、坂本の嘘のない言葉の強さ、徳川家康(野村萬斎)の本当の気持ちを知って、自分を見つめていくという若者成長物語にもなっています。


西村は偉人内閣解散後にアナウンサー転向が認められるのですが、自分の道を見つけたとその内示を断るのです。
こうして真実の取材をして自分の言葉で伝える記者となったのです。



というような様々な狙いの入った映画です。見応え十分だと悪食は感じました。
楽しめますしね。

役者達の見栄の斬り合いなどの共演も楽しめます。
是非、劇場で笑って真剣に考えてください。