『告白 コンフェッション』 妄想ホラー | 悪食のシネ満漢全席

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ろくに情報知らぬまま、当たり屋みたいに突撃して、 しょーもない感想を言い合って、備忘録代わりに残します。 かなりの無責任、言いたい放題、無礼千万をお許し下さい。

 

悪食 65点
今年 49本目

監督 山下敦弘
原作 福本伸行
   かわぐちかいじ
脚本 幸修二司
   高田亮

出演 生田斗真
   ヤン・イクチュン
   奈緒

福本伸行が原作、かわぐちかいじがさくがを手がけた漫画「告白 コンフェッション」を実写映画化。
渋谷シネクイントへ。

鑑賞結果、ホラー映画だったんですねぇ。オチにまだ優しさを感じる。日本の映画はまだまだ甘いねえ。

ここからネタバレ満載でいきますからご注意を⁉️



大学山岳部のOBで親友の浅井(生田斗真)とジヨン(ヤン・イクチュン)は、16年前の大学卒業登山中に行方不明になり、事故死とされた同級生、西田さゆり(奈緒)の17回忌の慰霊登山に出掛けるが、猛吹雪に見舞われ、しかもジヨンは脚に負傷をして遭難してしまった。


ジヨンは「俺を置いて下山しろ」と浅井に言うのだが、浅井は諦めなかった。
そんな時、ジヨンはとんでもない告白をし始めたのだ。
「さゆりは自分が殺した」と。
自分は助からないと覚悟しての告白だった。
しかしその時に浅井は山小屋を発見したのだ。
ギリギリのところで山小屋に辿り着いた二人にはとんでもないことが待ち受けていた。



殺人の告白を聞いてしまった男と、殺人を告白した男だ。
告白を聞いてしまった浅井は、「聞かなかったことにする」と伝えた。
しかしジヨンは、さゆりが浅井と付き合っていたことを知っていた。そんなさゆりを殺した自分を浅井が許せるはずないと思っていた。
二人の間には微妙な空気が流れ始めた。

浅井(生田斗真)は、ジヨン(ヤン・イクチュン)に「スマホを持ってないか」と聞くと「ザックに残したままだ」と答えた。しかし浅井はジヨンが捜索願をスマホで要請するのを見ていた。ジヨンは「ポケットにあった」と答えた。
スープを作ろうと包丁を探したが一本も無かった。
浅井はジヨンに対して懐疑心が湧いてきた。
ジヨンは告白したことを悔いているのではないか?俺の口を封じれば誰も真相は分からないと考えているのではないかと。
そしてジヨンもまた浅井が告白してないことをいぶかっていた。自分はさゆりを殺したことを告白した。しかしさゆりと付き合っていた浅井は何も言わない。おかしいと。
浅井には告白出来ないことがあった。
浅井はじよんがさゆりの首を絞めて殺そうとしているところを見ていたのだ。


なのに止めもしなかった。
さゆりは妊娠していた。浅井の子供だ。しかし浅井はさゆりから逃げようとしていた。親になる覚悟もなければ、そんなさゆりが鬱陶しいと思っていたからだ。


そのさゆりをジヨンが殺そうとしている。
願ってもいない好機だ。
ジヨンが去った後、さゆりに近付くとなんとさゆりは息を吹き返したのだ。
それを見た浅井はなんとさゆりの首を絞めてトドメを刺したのだ。
さゆりを殺したのは浅井だった。そんなことを告白出来るはずもなかった。
ジヨンは何も言わない浅井を許せなかった。親友だと言いながら、告白したことに対して自分の告白はしない。馬鹿にされていると思った。そう、浅井は自分を馬鹿にしていると。
浅井が否定すればするほど、ジヨンは確信していった。そして浅井に対して殺意さへ持ったのだ。


ジヨンは浅井に襲いかかった。必死に逃げる浅井。しかしジヨンは怪我しているにも関わらず必要に襲いかかってくる。
争いの際にもつれて階段を落ちるジョン。首が折れていた。
しかしジヨンは折れた首を元に戻すと何もなかったようにまた襲ってきた。



ホラーだ😱

逃げ惑う浅井(生田斗真)そこにヘリコプターの音とサーチライトの光が。浅井は助かったと助けを求めるが、それは高山病と雪目でやられた幻影に幻聴だった。
殺し合いは果てしなく続いた。



救助隊が浅井(生田斗真)とジヨン(ヤン・イクチュン)が残したザックを発見。そして近くの山小屋を見つけて中に入る。
二人の姿はない。
2階から音が聞こえる。階段には血溜まりが。
2階に上がった救助隊が見たのは、息絶えたジヨンに何度もナイフを突き立てている浅井の姿だった。
エンド。

この映画は色々な読み解きが出来るところが面白い。

雪山での遭難という極限状態の中、もう助からないと諦めたジヨン(ヤン・イクチュン)が死を前に心にずっと秘めていた秘密を告白する。
それは親友、浅井(生田斗真)の彼女さゆり(奈緒)を殺したという犯罪の告白。
さゆりを殺してしまった悔恨と、親友の彼女を殺したということを黙っている裏切り続けている気持ち。その二つがジヨンを苦しめ続けていた。
自分の彼女が遭難して行方不明になっていたのではなく、親友に殺されていたのだという事実を聞いた衝撃。それは想像するに難いものであるはずだったが、浅井の反応は違った。
もう16年も前の話だ。「俺は何も聞かなかったことにする」
ジヨンにとっては信じられない反応だ。
毎年のように慰霊登山をしているのに、その答えは何だ?
ジヨンは浅井が何かを隠しているのではないかと疑い始める。そして、浅井も何か告白することはないのかと詰め寄る。
ジヨンは西田が浅井の子供を妊娠していたことを知っていた。それを浅井が告白するのかと思っていた。
しかし浅井はその時、別な事実を思い出していた。
浅井はジヨンがさゆりを殺そうとしている現場を見ていたのだ。なのに止めようとはしなかった。さゆりは妊娠したことから浅井に責任を取るように迫っていた。浅井にその気は無かった。逃げるつもりだった。さゆりを鬱陶しく思っていた。
そんな時の卒業登山。さゆりをジヨンに押し付けてパーティーを組んだ。
さゆりにジヨンは思いを寄せていたが、さゆりには届かず、それどころか邪険にされたうえ、浅井に対する怒りをぶつけられていた。可愛さ余っての状態で、ジヨンはさゆりの首を絞めてしまったのだ。さゆりが絶命したと思ったジョンはその場を去る。
浅井がさゆりの所に近づくと死んだと思っていたさゆりが息を吹き返した。
それを見た浅井は咄嗟にさゆりの首を絞めてトドメを刺したのである。
そんな事実を思い返していた。しかしそんな話をジヨンにする訳にはいかない。
ジヨンはさゆりを殺したとその罪をずっと後悔して苦しんでいたのだ。本当は殺していないのに黙ってそれを隣で見続けていただけなのだ。告白など出来ようがなかった。
ジヨンの浅井に対する不信感はピークに達していた。その不信感は今までの友情関係も壊すが如く。浅井がジヨンに対してマウントをとり続けていたと。馬鹿にされ続けていたとジョンは思い込んだ。
そして浅井に対してそれは爆発し、刃を向けたのだ。そうして殺し合いが始まった。

そしてもう一つ考えられる理由は、告白までは変わらないのだが、そこから先が大きく異なる。高山病で目をやられた浅井は見えないことで不安が募り、ジョンに対して信頼が置けなくなっていた。全てのことが悪いように考えられ、果てはジョンが自分を殺そうと考えているのではないかた考え始める。
そして浅井が何も告白しないことにジヨンが怒り狂って襲ってきたという妄想を頭の中で描いたのではないだろうか?
そして精神に異常をきたした浅井を止めようとしたジヨンは浅井によって殺されてしまった。
どちらかというとこちらだろう。
それならばツッコミポイントも少なくて済む。

この映画がどんな映画なのかも知らずに観に行くとホラー映画ということに気付いて愕然とします。
首が折れても襲いかかる親友。
高山病と雪目で目が白内障のようになっている浅井。
ホラーですよぉ〜。
そしてその目で見たものは明るい光は救助隊のサーチライト。ではなくただの朝日。それではヘリコプターの音は?幻聴?
ところどころ妄想が現実なように扱われるので何が現実かもわからなくなる設定。
ホラーですよぉ〜。
という訳で、友人の殺人の告白を聞いて極限状態の中で精神錯乱起こしたのかと思えば、ジヨンが殺したことは知っていた。
じゃあ、なぜそんなに怯える?
ということで罪の意識に耐えられなくなって妄想から暴走したのは浅井というのが正解なんだろうなぁ。

という映画でした。
ワンシチュエーションもので面白いかと言えばそうでもない。
ストーリーが凝っているのかというとそうでもない。
ホラー映画として怖いかと言えばそうでもない。
だからの65点です。
配信でよろしいと思います。