『碁盤斬り』 白石和彌監督が時代劇を撮ると | 悪食のシネ満漢全席

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ろくに情報知らぬまま、当たり屋みたいに突撃して、 しょーもない感想を言い合って、備忘録代わりに残します。 かなりの無責任、言いたい放題、無礼千万をお許し下さい。

 

悪食 75点
今年 42本目

監督 白石和彌
脚本 加藤正人
出演 草彅剛  
   清原伽耶
   中川大志
   斎藤工
   音尾琢磨
   市村正親
   小泉今日子
   國村隼


古典落語の演目「柳田格之進」を基に描いた映画。
立川kino cinemaへ。

鑑賞結果、白石監督が描いた割には甘い終わり方です。まあこんなのもアリかと。しかし役者達は頑張っています。

ここからネタバレ満載でいきますからご注意を⁉️



浪人、柳田格之進(草彅剛)は娘、お絹(清原伽耶)と貧乏長屋で2人暮らし。印鑑彫りと着物のしつらえで生活をしていた。


ある日、印鑑彫りの手間賃をもらい、趣味の碁所に行ってみると、賭け碁をしている萬屋源兵衛(國村隼)と知り合う。


源兵衛は柳田を気に入り、碁友人となった。
娘のお絹も萬屋で働く弥吉(中川大志)と心を通わせるようになった。


そんなある日、柳田を訪ねてきた侍がいた。柳田が奉公していた彦根藩の梶木左門だ。左門は柳田が彦根藩を追われる原因となった柴田兵庫(斎藤工)が出奔したこと。柴田が罪を柳田に被せたこと。柳田の奥方は柴田に手籠にされて琵琶湖に身を投げたとのことを伝えた。
柳田は柴田を追うべく江戸を出ようとしていた。
そこに萬屋から弥吉がやってきたのだ。
お店のお金が無くなったと。行方を知らないかと。
柳田は疑いをかけられたことに腹を立て、自身の命をもって疑いを晴らそうとした。しかしそれをお絹が止めた。「疑われたまま死ぬのですか?母上の仇は取らないのですか?」と。「無くなったお金は私が用立てますから、父上は母上の仇を取ってください」と。お絹は繋がりのあった吉原の女主人、お庚(小泉今日子)にお金を借りたのだ。大晦日までという約束で。それを一日でも過ぎたら、お絹はお店に出すと。


柳田はそのお金を弥吉に渡しながら、「もしお金が出てきたら、私に疑いをかけた無礼を弥吉の首と、源兵衛の首で詫びろ」と。弥吉はその約束をした。
こうして柳田は柴田を探す旅に出たのである。


中山道で見かけたとの噂を聞き、中山道をくまなく探すもその姿は見つからなかった。途中で左門も柴田を探す為に同行していた。
そして江戸で大きな賭け碁があり、柴田は江戸に向かったとの話を聞いて2人は急ぎ江戸に戻るのである。

江戸に戻った柳田(草彅剛)と左門は、碁所に現れた。碁所の元締(市村正親)に許しを得て、柴田(斎藤工)を探す。


柴田は居た。柳田は柴田に碁で勝負をつけようと申し出る。
そして碁による対決が始まる。
双方拮抗した戦いであったが、終盤、柳田は妙手で勝利を目前とした。
柴田は自分の負けが明確になると、隠し刀でいきなり斬りつけてくるのである。


大立ち回りの末、柴田は「お前のような堅物は息苦しいだけだ。誰も大きな不正をしていないのに、それを殿に注進してお役御免にしてきた。彼等の家族や下働きは放り出されたんだぞ」と。「俺は今でも彼等を手助けしている」と。そして「ご内儀も私と不義をしたから命を絶ったのではない。お前に息苦しさと嫌気がさしたからだ」と。
柴田は柳田に介錯を頼んで絶命した。



柳田(草彅剛)と左門はその足で吉原に向かう。しかし大門は閉められて開くことはなかった。
そこに弥吉(中川大志)がやってくる。
金は出てきたと。
柳田は約束通り首を貰うと萬屋に向かう。
しかし柳田は首の代わりに碁盤を斬りその場を収めた。
柳田は左門に柴田が盗み出した掛け軸を貰えないかと頼んだ。金が必要だと。
左門は「掛軸は柴田が売り払って見なかったことにする」と言って柳田に渡した。

後日、お絹(清原伽耶)と弥吉(中川大志)の祝言があった。


源兵衛(國村隼)は、勝負の途中で終わった碁の続きをやろうと碁盤を取りに行った。戻るとそこに柳田の姿は無かった。
柳田は一人、藩を追われた浪人と家族を探す旅に出ていた。
エンド。

という映画です。
最初の感想としては、白石監督が撮った割にはまずまずハッピーエンドでした。
しかしその中に現代にも通じる正しさの意識というものを描いています。
正しきことが幸せを導くのか?
正論は誰もが納得するものなのか?
正義とか悪とかのステレオタイプで語るのではなく、曖昧な世界にも考えなくてはならないことがあるのではないか?
日本には素晴らしい言葉がある。「塩梅」
堅苦しくかっちりしていなくてもいいのでは?

いい塩梅でこの映画が鑑賞出来ることを。
是非、劇場で。