悪食 50点
今年 23本目
監督、脚本 ローラ・バウマイスター
出演 アラ・アレハンドラ・メダル
バージニア・セビリア
カルロス・グティエレス
中米ニカラグアの希少な映画。
渋谷ユーロスペースへ。
鑑賞結果、これはなんと言っていいか。貧困が故の悲劇。とだけ言ってれば済む話なんだろうか?これを観て考えることは何か?突きつけてくるものが鋭い。
ここからネタバレ満載でいきますからご注意を⁉️
中米ニカラグアの首都マナグアに実在する巨大ゴミ集積場ラ・チュレカに母親リリベス(バージニア・セリビア)と2人で暮らす11歳のマリア(アラ・アレハンドラ・メダル)。
貧しいながらもそれなりに幸せに暮らしていた。
母リリベスは預かっていた子犬を育てていたが、マリアがゴミ集積場で拾ってきたものを食べさせたのか急に死んでしまった。
子犬を返すことが出来なくなったリリベスはトラブルを解決する為にマリアを知り合いのリサイクル施設に預けて街へと向かった。
いやいやながらリサイクル施設で暮らすが、その生活に馴染めない上に母リリベスは一向に迎えに帰ってこない。
戸惑い、混乱し、言葉にならない怒りを抱えたマリアは施設が取り締まりのゴタゴタの最中に施設を抜け出し、1人街へ向かうのだった。
マリア(アラ・アレンハドラ・メダル)は母リリベス(バージニア・セルビア)を探している様で、諦めてもいる。
もう生きてはいないだろうと。
11歳の女の子にそんなことを普通に考えさせる国がニカラグアなのだ。
貧困の中、弱者は強者にいい様に扱われ、その生活から抜け出ることも出来ない。
そんな国に生まれた者にとって、国とか貧困とか教育なんてものは強者の視点でしかないのだろう。
マリアが怒りの眼差しで全てを見ているのも、変わらない境遇を嘆いているのではなく、マリアが感じる世界にただ怒りが込み上げているだけなのだ。
マリア自体もその怒りがなんなのかを理解はしていない。
その中で生きていくしかないのだ。
ただそれだけを見せつけられる映画なのだ。
これを観て我々は何を思えばいいのか?
世界に貧困があり、それは救わなければならないことなのか?
それこそ強者の思い上がりではないのか?
だからと言って見て見ぬ振りをすればいいのか?
知ることが大事なのか?
様々な想いを鋭く突きつけてくる映画で、観ていて辛くなった。
だからと言って何も出来ない悪食がいる。