『ザ・クリエイター』 人類とAIは共存出来るのか? | 悪食のシネ満漢全席

悪食のシネ満漢全席

ろくに情報知らぬまま、当たり屋みたいに突撃して、 しょーもない感想を言い合って、備忘録代わりに残します。 かなりの無責任、言いたい放題、無礼千万をお許し下さい。

 

悪食 80点
今年 104本目

監督、脚本 ギャレス・エドワーズ
脚本    クリス・ワイツ
出演  ジョン・デビッド・ワシントン
    ジェンマ・チャン
    渡辺謙
    マデリン・ユナ・ボイルズ


人類vs AIの近未来SF。
豊洲ユナイテッドシネマへ。

鑑賞結果、こういう映画を観るたび一番クソなのは人間であり、死ねばいいのにと思ってしまう。
どうして人間は戦争を起こすのか?憎しみと悲しみしか残らないのに。
悪食は泣きました。


ここからネタバレ満載でいきますからご注意を⁉️



2075年、ロサンゼルスで核爆発が起こった。AIが人間に宣戦布告したと言われていた。以来、西側諸国ではAIは全面的に禁止となったが、アジア諸国ではシミュレント(模造人間)と人間 が協力してAIを開発していた。
人間とAIの戦いが激化する中、潜入捜査員のジョシュア(ジョン・デビッド・ワシントン)はニューギニアでマニアータというAI天才開発者を探していた。


西側諸国はAIを倒す為の最終兵器を途方もない歳月とお金をかけ作り上げ、その結果、AIとの戦争に勝利しようとしていたが、マニアータはその最終兵器をも破壊することの出来る最終兵器AIを作り上げたと言われていた。


ジョシュアの任務はマニアータを見つけ出し、殺害すると同時に最終兵器AIを破壊することにあった。
ジョシュアは潜入捜査中にマヤ(ジェンマ・チャン)と結婚した。しかし何処を探してもマニアータの姿も基地も発見出来なかった。そんなある日、突然軍隊が現れ、ジョシュアはマヤと離れ離れになった。行方不明になったマヤはその時に命を落としたと思われた。



ジョシュア(ジョン・デビッド・ワシントン)はマヤ(ジェンマ・チャン)を失った悲しみと喪失感で軍を除隊してしまった。
しかしその後、マヤが生きているのではという情報が入った。ジョシュアは軍に復帰し,最終兵器AIを探すと共にマヤの行方も追った。
最終兵器AIがあるという基地に侵入はしたが、抵抗は凄まじかった。最終兵器AIの収納庫のロックが解除された時、その場にはジョシュアしかいなかった。ジョシュアが収納庫に入ると、そこには幼い女の子(マデリン・ユナ・ボイルズ)がいた。ジョシュアは咄嗟に彼女を担いで戦場を抜け出した。



ジョシュア(ジョン・デビッド・ワシントン)は何故少女(マデリン・ユナ・ボイルズ)を殺さなかったのか?
可愛らしい子供だったから?
そうではない。ジョシュアはどうしても行方不明の妻マヤ(ジェンマ・チャン)を探し出したかったのだ。マヤのいどころをこの少女は知っていると思ったからだ。彼にとっては人間とAIの戦争の行方は興味無いのだ。



マヤ(ジェンマ・チャン)を追って得た現実は厳しいものであった。
マヤはマニアータだったのだ。そしてマヤが最終兵器AIを作り上げたのだ。最終兵器AIはどんなマシンにでも侵入出来、それをシャットダウン出来る。そのAIは成長するとどこからでもそれが出来るようになる。まさに無敵なのだ。そしてそのAIにはマヤとジョシュア(ジョン・デビッド・ワシントン)の子供のDNAが使われていた。その少女はアルフィーと名付けられた。
ジョシュアはアルフィーを守る立場になった。それは自分の子供のDNAが使われていることだけではなく、AIは人類との戦いを望んではなく、共存を目指していたからだ。そしてこの人類vsAIの戦いも実は人間のヒューマンエラーから起きたことで、AIが人類を滅亡させようとして核を使ったわけではなかったのだ。
ジョシュアは人類とAIの戦いを止めるべく動くのである。



この映画は最終的にはAIを滅亡させるべく人類の最終兵器はアルフィー(マデリン・ユナ・ボイルズ)によってシャットダウンされ破壊される。
だからと言ってAIが勝った訳ではない。
戦争という恐怖が人を狂わせる。
おかしくなった人間の行動はもはや止めようがない。

まだまだ戦いは続くのだろう。
しかし希望が無い訳ではない。AIを人類が一つの種だと認めればいいのだ。
シミュラント(模造人間)となったAIはもはや人間との区別は難しい。その上、AIに感情がある。すると人間とAIの間でさへ絆は築けるのだ。感情があって、絆が築ける相手はもはやただの機械とは言えない。
この人類とAIの隔たりを人種や差別や格差におけるメタファーだと捉えることも出来る。しかしそんな簡単に決めるのもどうかと思う。
遠くない未来、AIとの関係を本当に考える時が来るのだから。
AI技術が恐ろしいほどの速さで進むこの世界で、AIが意識と感情を持って現れるのは時間の問題だ。その時、人類はAIをただの機械と見るのだろうか?
それとも新たなる種として尊重するのだろうか?
多様化を認める世界はどう判断するのか?

面白い映画です。
シミュラントが意思と感情を持ち合わせたら、それは機械とは言えないと悪食は思っている。しかしそんな人間が増えたら、人類は種の保存ができなくなって滅亡するかもしれない。
AIが支配する地球が誕生するかもしれない。
それが進化なら仕方がないかも。

AIのシミュラントが核爆発の後、電源が復旧して意識を取り戻した時、最初に口にしたのは自分の子供の心配。養子にとった人間の子供の心配。普通の親のようにパニックになりながら子供を心配する姿に人間だからとか、AIだからとかの区別が出来るだろうか?

そして改めて戦争は許されないものだということを痛感した。
いい悪いは関係無い。そこには営みがあるのだから。
それを考えさせてくれる映画だ。

良い映画です。是非、劇場で。