『麻雀放浪記2020』 久しぶりに酷い映画を観てしまった | 悪食のシネ満漢全席

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ろくに情報知らぬまま、当たり屋みたいに突撃して、 しょーもない感想を言い合って、備忘録代わりに残します。 かなりの無責任、言いたい放題、無礼千万をお許し下さい。

 

悪食  10点

今年  53本目

 

監督、脚本  白石和彌

原作           阿佐田哲也

脚本           佐藤佐吉

                 渡部亮平

主演           斎藤工

                 もも

                 竹中直人

                 ベッキー

                 的場浩司

                 小松政夫

                 ピエール瀧

 

ピエール瀧事件で公開が危ぶまれましたが、なんとか上映にこぎつけたので、渋谷TOEIへ。

 

鑑賞結果、これは酷い。「麻雀放浪記」に対する冒涜だ‼️

 

ここからネタバレ満載でいきます‼️

 

「麻雀放浪記」を元に2020年にタイムスリップというアレンジ?はぁ?

脚本家が3人がかりでこの体たらくな本⁉️あり得ないでしょ。原作を舐めているのでしょうか?

「麻雀放浪記」の麻雀を通して命のやり取りさへするギリギリの世界観、言わば死生観を見つめるのがこの原作の最大の面白さ。

なのにこの映画ときたら未来の日本にタイムスリップしてくるという設定も安易で幼稚なら演出もダサイ。

本当に白石監督が演出したのでしょうか?

ビックリです⁉️

 

1945年の戦後復興期に博打打ちて暮らしていた哲(斎藤工)は、麻雀中に落雷にあい、2020年の東京にタイムスリップしてしまった。

2020年の東京は新たな世界大戦の勃発により荒廃した街になっていた。

東京オリンピックも中止となり、経済も衰退した東京で麻雀オリンピックを開き、それにAIロボットを参加させることにより日本がAI技術に秀でていることを知らしめるのが目的だった。

 

とまあ、オリンピックが中止になったから麻雀オリンピックなどと安易な設定に失笑します。

 

行き倒れの様に発見された哲(斎藤工)は、コスプレ麻雀のウエイトレス兼タレントのドテ子(もも)に拾われます。

またこのもものキャラクター設定が変です。

頼まれれば断れずに誰とでもセックスするが人間とのセックスでは満足出来ず、バーチャルでシマウマとやっている設定のセックスにしか感じないという性癖の持ち主設定。

マネージャーのクソ丸(竹中直人)とのセックスシーンなど、アホらし過ぎてこのシーンいる?と呆れるほど。

またクソ丸は、麻雀が強い哲を学ランにフンドシという訳の分からない格好させてのタレントとしての売り込みなど、麻雀シーンなど適当で呆れるのを通り越して泣けてきました。

 

麻雀オリンピックと言いながら、トーナメントはやったのでしょうか?

AIロボット(ベッキー)が指名するネット麻雀チャンピオンのミスターK(的場浩司)と哲(斎藤工)、そして中国チャンピオン(小松政夫)という闘いが始まるだけです。

はぁ?という展開。

そのメンバーは哲がタイムスリップする前に闘っていたメンバーの生まれ変わりみたいな設定でバカバカしい限りでつまらないです。

そして闘い方もAIの圧倒的な実力を見せつけるも妨害工作で電源が落ち、全自動卓が壊れるとやたら慌て出すスタッフ。

もしかして卓に仕掛けがあってAIロボットが圧倒的に強かったの?と思わせる様な不可思議なカット。

手積みで麻雀やり始めるとイカサマ技が見られるのですが、これがアホくさいほど下手くそで撮り方も何の工夫も無し。

神業の様なイカサマ技を見せつけた「麻雀放浪記」に比べるべくもありません。

勿論、麻雀に全てをかけた男達の命を削る様な世界観も何もあったもんじゃなく、正に「麻雀放浪記」を愚弄しているとしか見えなかった。

 

最後の勝ち方はもっとくだらない。

AIロボット(ベッキー)がトップ。2位が哲(斎藤工)。他の2人はAIロボットに勝たせたくないからと哲のイカサマに乗るのです。それが筒子の九蓮宝塔の役満を上がるというイカサマ。

そのイカサマがまた酷い。五筒子待ちだが場に五筒子は出切っている。ところがタイムスリップした時に手に握っていた五筒子をポケットから出してツモったと宣言するなんて、どういうこと?それで勝ちなの?意味不明を通り越して怒りさへ湧きました。

するとまた雷が落ちて哲は1945年に戻るのです。

はぁ?これは何?バカにしてるの?

久し振りに金をドブに捨てた気がしました。

ディスり出したら止まりそうもないのでこの辺でやめておきます。

 

「麻雀放浪記」は和田誠監督、真田広之主演の素晴らしい映画でした。

戦後復興期の中で、博打打ちとして生きる哲が様々な博徒の出会いから人生を学び、刹那な命の叫びをあげる映画です。

その死生観は観たものに深く影響を与えた日本映画の傑作と言える一本です。

それが「麻雀放浪記2020」となって登場してきたのですから、期待するのは当たり前です。

しかも「彼女がその名を知らない鳥たち」で人間心理を巧みに表現した白石和彌監督とくれば、輪を掛けて期待します。

それが残念どころではないこの体たらく。

はっきり言いましょう。観る価値はありません。

全くオススメしない稀有な映画です。