『犯罪都市』 相変わらず韓国映画は甘くない! | 悪食のシネ満漢全席

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ろくに情報知らぬまま、当たり屋みたいに突撃して、 しょーもない感想を言い合って、備忘録代わりに残します。 かなりの無責任、言いたい放題、無礼千万をお許し下さい。

 

悪食  80点

今年  42本目

 

監督  カン・ユンソン

主演  マ・ドンソク、ユン・ゲサンチョ・ジュエン、パク・ジファン

        ホ・ソンテ

 

韓国映画でこのタイトルならかなりヤバイでしょ。

韓国映画御用達映画館新宿シネマートに行ってきました。

昼間なのに満杯です。

 

鑑賞結果、相変わらず韓国映画は甘さが微塵もありません。

リアルに怖いです。

 

ここからはネタバレ満載でいきますからご注意を‼️

 

これは実際にあった事件を元にフィクションとして描かれた映画です。

警察と韓国ヤクザ、中国マフィアとの三つ巴の抗争。

 

ソウル南部の衿川区。ここの警察署のコワモテ刑事のソクト(マ・ドンソク)は、人柄と腕っぷしの強さで地元の韓国ヤクザ同士の争いも解決してきた。

時にはヤクザに寄り添い、時には厳しく取り締まり、ヤクザ同士のパワーバランスをうまく取ってきた。

しかしそこへ中国系マフィア黒竜組のチェン(ユン・ゲサン)がやってきたことで、そのパワーバランスが大きく変わる。

チェンは先ず、韓国ヤクザの毒蛇を乗っ取り、イス組の縄張りも荒らし始めた。

チェンのやり方は情け無用で逆らう者は全て殺していく。

イス組も組長が殺され、組の縄張りは乗っ取られた。

チェンは都市開発企業と結託し、ライバル企業の社長の命をも狙う。

ソクト率いる警察の強力班はチェンを捕まえる為に罠を張るが寸前のところで逃げられてしまう。

中国マフィアと衿川警察の熾烈な戦いが始まる。

これ以上、韓国に留まるのは不利と見たチェンは中国への脱出を試みるが空港でソクトとの大立回りのすえ逮捕される。

こうして中国マフィアと衿川警察の戦いは終結した。

 

話は韓国の地方都市でいいバランス上に成り立っていた韓国ヤクザと警察の関係が、中国マフィアが入ってきたことでパワーバランスが狂い、大きな抗争へと発展するという警察vsマフィアという構図だが、これが普通のヤクザ映画にならないのが韓国映画の真骨頂。

衿川警察と韓国ヤクザの関係は、ある意味よくある持ちつ持たれつ関係もある感じで褒められたものではないが、バランスは保たれていた。

しかしそこへ金儲け以外興味の無い中国マフィアが入ってきたことで、パワーバランスが大きく変わる。

この中国マフィア黒竜組のチェン(ユン・ゲサン)という男が完全にイカれていて凄い。

連れてきたのは二人のイカれた部下が二人だけ。

しかしこの三人は異常に強く、情け容赦が無い。

借金取り立てに韓国まで来ただけなのだが、集金する為に韓国ヤクザの毒蛇のボスを手下の目の前でいきなり滅多刺しにして殺してしまう。

毒蛇の手下達はあまりの光景に身動き取れなくなり、そのまま黒竜組に飲みまれるのである。

いきなりの恐怖、圧倒的な暴力は人を隷属させる力があるのかも。

そんな人間の心の弱さを突きつける怖い場面だ。

このイカれた黒竜組のチェンを演じるユン・ゲサンが見事だ。

冷徹にそして残虐に殺していく演技に震える。

 

それに対して衿川警察のコワモテ刑事のソクトは、レスラーのような体格をしているが、人情があり、部下からも地元住民からも、そしてヤクザからも慕われるような地域密着型の刑事である。

そのソクト演じるマ・ドンソクもまたその役柄を見事に演じていて素晴らしい。

 

この映画は実話を元にしてフィクション化した映画である。

もちろん脚色も大きくエンターテイメントしているから映画自体の面白さは言うに及ばない。

しかし、一番の見所はマ・ドンソク演じるソクトの人格とユン・ゲサン演じるチェンの人格の対比がこの映画をただの犯罪映画にするだけではなく、人間物語的な側面を大きく入れた見応えのある映画にしている。

 

韓国映画、素晴らしい。

「犯罪都市」というタイトルが陳腐に思えるほど内容は人間ドラマしています。

暴力描写は半端ないです。誰にでもオススメは出来ませんが、悪食はこんな甘さの無い映画が大好きなのでオススメします。

観るのでしたら覚悟して観てください。