
この記事では、「おつかれさん」のMV撮影舞台裏、曲の製作当時の話などをしようと思います。
このMVは、前回の「赤いエントツの家」で撮影をしてくれた、君らそんなんで委員会の撮影した映像を一部使わせて貰っていたり、新宿Marbleでの配信ライブ映像も貰っていますが、MVの8割ぐらいの映像は、僕が去年の秋から今年の春ぐらいまでにかけて、自分の近所や上野を歩き回って、ハンディカメラで撮影・収集した映像で作られています。(自分でどうしても撮れないシーンは、握月メンバーの由宇くんに撮影をお願いしたりもしました)
1人で映像を撮るというのは、やはり大変な事で、周りは家族連れやカップルばかりなのに、上野公園の西郷隆盛さんの像の前で、一人で三脚に設置されたカメラに向かってにやにやとピースサインを送る僕を見た周囲の人達からは不気味がられたり、大雪の中で撮影するシーンでは、カメラが濡れないように松屋で貰う弁当用のビニール袋をカメラに被せて三脚に設置したりと、撮影スタッフがいないDIY環境でMVを作ることの大変さを心底感じた撮影期間でした。
完成したMVを改めて見てみると、1人でカメラと三脚を手に、とぼとぼと年末の上野や近所の河川敷を歩き回っていた事ばかりを思い出し、奇しくも、このMVを撮影していた僕は「おつかれさん」という歌のように、年末の賑やかな喧騒の街の中に溶け込めない存在だったんだな、と思いました。
「おつかれさん」という曲を着想した時期は、生まれて初めて「音楽を辞めよう」と本気で思った2019年の秋頃の事です。
「歌いたい事を歌うだけでは売れない」。商品を届けるという事はお客様ありきなので、そんなのは当たり前の事なのですが、僕は「その人にだけ伝えたい」「ありのままに自分の想いを伝えたい」という気持ちでこれまで歌を作ってきていて、この時期、そういった気持ちで絞り出したデモ曲を業界関係の方から酷評されるという出来事があり、本気で音楽そのものから身を引こうという気持ちになっていました。
そんな気持ちに抗うようにして湧いてきた曲が「おつかれさん」だった気がします。
曲として最終的に完成したのは2020年の秋頃。コロナ禍を経験して一年がかりで作られた曲でしたが、歌詞については文章量があまりにも多過ぎた為、自然とポエトリー形式となりました。
「歌いたい事を歌うだけでは売れない」
という事実を前にしても、自分に出来る歌は、伝えたい事をありのままに訴える歌でした。
大切な人に届くように。
空の上まで届くように。
僕はこの歌で世界は変えられなくても、誰かの心の中にある風景は変えられると思っています。
カッコつけた綺麗事ばかりですけど、もちろん世の中に評価されたら嬉しいですけどね笑
この記事を書いている11月27日は、まさに本格的な年末が始まるという時期で、さっきまでMVにも登場した上野のアメヤ横丁を歩いていました。
去年、ハンディカメラを片手に、誰とも交われない存在として歩いていた僕は、今年も同じように1人で上野にいました。
2022年。まあまあ辛い事の多い1年ではありましたが、残り1か月、悔いの無いように過ごそうと、ライブハウスや路上で歌い、そこで出会う人に励まされたり勇気付けられたりしながら、なんだかんだで元気にやっています。
12月24日には、今年の春に活休からの復活イベントもやらせてもらった久米川 太陽と月灯りで、たくまイベントも組んで頂けました。そう考えると、そこまで悪い年末じゃないのかもしれません。
まだこの歌を聴いた事がない方、ライブでよく耳にしている方、CDでよく聴いている方、僕の存在をつい最近知ったという方。
「おつかれさん」MVは下記リンク先のページにありますので、忙しい年末という時期ですが、6分ほどお時間を頂けたら幸いです。
http://takumasolo.com
僕はこれからクリスマスケーキを近所の100円ローソンに予約をしに行こうと思います。
去年は1人で食べましたが、今年は色んな人と分け合えるかもしれません。
そんな感じで楽しい年末を期待をしましょう。
ありがとうございました!
たくま