2017年8月8日(火)
握月企画
「八月の血闘」

この企画が始まる一週間ほど前より
無類の雨男パワーを発揮して、
(握月ライブの日はなぜか毎度のように雨が降り、前日もゲリラ豪雨や雹が降るなど異常気象に見舞われる。僕以外のメンバーは晴れ男+晴れ女)
時速20kmの大型台風、台風5号の接近が8日に向けて進行という、
史上最悪の状況だった。
前日の夜、吹き荒れる雨風が築40年以上の葛飾区にある我が家の窓をピシャンピシャンと軋ませて、
不安としかいいようが無かった。

しかし、当日。
前日までの大荒れが嘘のように。


小雨はぱらつく時もあったけれど、
なんか、「今日だけはオマケだよ」
と誰かに言われてるような気がした。

リハーサルから全出演バンドの顔合わせ。
そして、
この日の出演バンド、ハングオーバーのVoであり、高円寺CLUBLINERスタッフの古郡翔馬くんによるフードの仕込み。 
この日は、ドリンクだけでなく、フードとも交換することが出来る、フード兼ドリンクチケットを入場する時に3枚買う事で、お客様にライブだけじゃなく、飲食も届けよう、という主旨があるイベントだった。


バーベキュー大会並みの煙がフロア内に充満。
はやくも企画タイトル通りの血闘(火との闘い)が繰り広げられ、


現れたのは、からあげ!!!と肉巻きおにぎり。

準備は、これで整った。

18:00開場。
開場と同時に、フロアにはお客様が現れ始める。
すると、
「よう!なみき!」と声をかけられ、
振り返るとそこには、朝眠るのBaであり、irukasowakaのBaでもある、ツヨシが!

なぜ!
今日、バンドのミーティングが急遽入って見にこれないって聞いてたのに!

「ほんと楽しみにしてたんだけど...こうゆう事になっちゃってすげえ残念で。また改めて見に来るから」

まじか!挨拶の為だけに、ここまで来てくれたようだった...!

しかも、入り口でチケットも買ってくれていたらしく、僕らにフード兼ドリンクチケットを託して、バンドミーティングの為に去っていった。

そこまで届くような歌を歌わなきゃ。

そう思っているうちにどんどんお客さんが増えていき、

18:30になり、
遂に「八月の血闘」がスタートした。


オトウトの課題

歌詞から伺い知れる、ロックンロールやオールドパンク、オルタナティブロックへの憧憬。
暖かい切れ味。ギターにも込められた歌心。
激しくステージ上を動きながら、押し出すようなリズムを叩き出すベースも印象的だった。



マイマイアーミー

コミカルなMCと緩急をつけた、怒濤の3ピースバンドサウンド。
パンクロックでありつつも、途中でコーラスワークと綺麗なギターのテンションコードを組み合わせた楽曲でフロアの空気を変える場面もあり、見るたび本当に成長著しいと思った。



THE FUZZ ACT

この日、最も「血闘」を体現したライブアクトだったかもしれない。
妥協などみじんも無い。
フロアの天井まで上がる熱気。爆風。
ここまでの時点で、既に「八月の血闘」がトリの演奏を終えてしまったかのような空気になる。



ハングオーバー

古郡くんのMCから始まり、ゆっくりと、
しかし、確実に上がっていく会場の温度。
定番となった、夏に発売したシングル曲を存分に歌い上げ、古郡くんは時にはステージから客席に降りて煽り、マイクを持たずに生声で叫び、
余すことなく力を使い尽くしてライブを終えた。



握月



1.がんばっても幸せになれない人へ
2.今だけは
3.愛してくれ
4.孤高の星
5.高架線の歌

ーアンコールー
6.五月の風

音楽活動を初めて以来、
生まれて初めてアンコールを頂いた。

何も分からなくなりそうになりながら、ステージを降りて、控え室の扉を開けたら、
生まれてから一度も聞いたことが無いような拍手の音を聞いた。
まるで100人ぐらいこの場所にいるんじゃないかと思った。

少しだけ、
ちょっとだけ僕らの声はここにいる誰かに伝わってくれて、
今この瞬間と僕らのことを明日思い出してくれるのかな。

そんな風に思った。
膝に力が入らなかった。









誰かに言われた。

もう少しだけ頑張ってみようって。

一度決めたことや

自分がやりたいと思ったことは、ずっとがんばってやっていけば良いことあるよ

そう言われた。

何かあった時、
辛いことがあった時、

僕はきっと思い出す。

僕や君やあいつやあの子やあの人が

誰かじゃなくて、君じゃないと駄目なんだぜ、
と言われた日のことを。

2017年8月8日。とある満月の夜のことを。


始発が動き出してから3時間後、どうしてもバイトに行かなきゃダメな時間になった僕は、
まだ楽しそうに話している友達やお客さんが何人か残っている高円寺CLUB LINERを出た。

外に出たら、もうすっかり陽が昇っていた。
古郡翔馬くんにLINEを打つ。
彼は、
高円寺CLUB LINERという場所に、たくさんの人がもっと溢れていてほしい、気軽に遊びに行かれるような場所にしたい、出演してくれたバンドがみんな繋がって高めあってほしい、高円寺CLUB LINER という場所にいつも素敵な時間があって、そこに来た人が笑顔で生きていけるようにしたい。
そんな気持ちを、いつも持っているような気がする。

だから、僕のさんざんワガママなお願いをたくさん聞いてくれて、支えてくれて、
ハングオーバーとしても、高円寺CLUB LINER スタッフとしても、
一緒に握月企画を成功させてくれたんじゃないか、と思う。

彼に直接伝える言葉は、
この日記を書いている8月8日から2日後の今でも、ほとんど伝えられていないと思う。

彼がいなければ、今回、僕らのこの企画は決して成功は無かったと思う。

翔馬くん、本当にありがとう。
またゆっくり話そう。





電車で自宅の最寄り駅に着く。
水筒を洗って、水を入れて飲む。
完全に焼酎の味がした。
THE FUZZ ACTのVo、徳永駿介が「家が無い人が飲む焼酎だけど、これうめーんだよな!!」と、
打ち上げの時に買ってきたやつだった。

彼は普通に別のお酒を飲んでいて、
僕はもくもくと、この水筒に、その焼酎を注いで飲んでいた。
一口目は、むちゃくちゃ旨かった。
それ以降は舌が痺れて、意識が遠退いた。


顔が土色のままバイトに出勤。
おつかいの用事を新宿で済ませて、電車に乗ろうと歩いてたら、目の前から見覚えがある人が

「あれ?たくまくん?」

きまやん。握月のドラマー。

「すっごい似てる人が歩いてきたと思ったけど、偶然すぎない?」
「お互いにね」
「これから出勤?」
「そうだよ。あの後どうなったの?」
「朝まで打ち上げだった」
「良いなー」

ちょっと話してまた別れた。
明日の朝、また新宿のスタジオで会う。



夏のすごく暑い日だった。

同じ瞬間は決して繰り返されないから、

例えば、ありふれていてたとしても

どんなことでもこれから一つ、一つ。

君にまた歌を歌える日まで。

足りない頭と心に留めながら、これからも。



2017/8/8(火)
高円寺CLUB LINER 

握月企画
「八月の血闘」

握月/
ハングオーバー/
THE FUZZ ACT /
マイマイアーミー/
オトウトの課題/



来てくれて
出会ってくれて
本当にありがとうございました。


たくま

写真を撮ってくれたスペシャルサンクスな方々・・・真衣さん、なかの君、ハダユキコさん、森園竣さん(THE FUZZ ACT)