浪曲会は先週の日曜以来。緊急事態宣言下とあって、道楽亭も客数限定でこの会としては本当に珍しいくらい少数精鋭のお客様。予約が間に合わず配信に回られた方も多かったんだろうな。
 後見に玉川奈みほさん。沢村まみさんもお見えに。

🔴玉川奈々福・沢村豊子→松山鏡
🔶豊子オンステージ
→岸壁の母・清水次郎長・銭形平次
🔶豊子と奈々福の午後のひととき
🔴奈々福・豊子→忠治山形屋

➡︎国本武春師匠の落語ネタで、武春師匠が弾き語りでなさっていたのを、完全な三味線伴奏の浪曲の形になさった。赤坂の会でははる乃さんにお願いしてやはり三味線伴奏に形にし、最後だけ独自音源に合わせてはる乃さんが歌われた(唸られた?)。
 完全な三味線伴奏の形にすると、武春師匠から離れて奈々福師匠のネタになってるなあ、と思う。「ハッピーバースデー」「DV 亭主」などのギャグも入って落語浪曲らしい。しかし、やはり最後の夫婦の仲直りのところが本当に浪曲らしくてたまらないな。

➡︎「断っても断ってもダメって言うんだもの。奈々ちゃんだからしょうがなくやってる。」と言いわけする豊子師匠。でも今日の三つは(特に清水次郎長外題付)はいい出来でしたよ。

➡︎女性の関東節は絶滅危惧種というところから、「浪曲師が曲師を育て、曲師が浪曲師を育てる」(文楽の太夫と三味線方も同じだな)という奈々福師匠のお話。ここからまだ一段も二段も上手くならなきゃという奈々福師匠に、豊子師匠から「関東節の春野百合子になれ」との激励も。

➡︎福太郎師匠が三代目勝太郎師匠が亡くなられてから「忠治山形屋」に取り組むのを奈々福師匠は近くで見ていたと話され、福太郎師匠が「三代目の節が頭の中で鳴っている」と仰ったことを紹介された。忠治山形屋に今取り組んでいる奈々福師匠の耳には三代目の先生の節と福太郎師匠の節がダブルでなっているそうだ。
 「福太郎師匠の山形屋には優しさが滲んでいる」という趣旨の奈々福師匠のお話は、ご自分がこのネタをどうこなしていくか?という問いへのご自分の答を示唆されていたように感じた。そして今日の口演には忠治の優しさを確かに私は感じた。

 今月三回目の浪曲のお仕事というだけあって(檜原村での滝に向かっての声出しとお稽古とリフレッシュのおかかも?)2席とも有り余る声をぶつけるような迫力を感じた。が、同時に人間を優しい目で見つめ表現する姿勢も感じた。
 奈々福ファンは本当に生で聞きたかったろうな?私はとてもラッキーな夜でした。