ここは信州。広大な地所持ちの軍太夫は息子の義信に怪我をさせたとしておしの婆を責め、おしの婆は軍太夫の娘お小夜の導きで逃れて杣屋に暮らしていた。
    軍太夫はおしの婆の息子の幸助を呼んで、おしの婆を冠着(かむりき)山に捨てるように命ずる。幸助がおしの婆のところへ行くと、軍太夫の家人の弥平次から教えられ既におしのは捨てられることを知っていて迷惑はかけられないから早く山へ連れて行ってくれと言う。やむなく母おしのを背負って雪の山道を登り、幸助が山の祠におしのを捨てて戻ってくると、中腹までお小夜が追ってきた。「親を殺せるのか?」とお小夜に説得されて幸助が山の祠に戻ってみるとおしの婆は雪に埋もれて虫の息。
    一方軍太夫の屋敷では家人たちが軍太夫のおしの婆に対するやり方に腹を立て皆暇を取ってしまう。弥平次がこれを軍太夫に告げて「親子の情に貧富の差はない」と諫言すると、軍太夫は改心して山へ迎えに行き詫びる。
    後に村が雪崩や干ばつで危機に陥った時、おしの婆の知恵で村は救われる。お小夜と幸助は結ばれ、幸助の守本尊の観音像を建てる。