「貴方がこれを読むときには
私はこの世にいないでしょう」
よくある書き出しの物語
遍くそれは最期の願い

弱りきった身体に込めた
力いっぱい筆を走らせ
決してそれは外に見せずに
振舞う笑顔は頬を紅らめ

貴方の好きな猫の話や
旅の話で筆は進まず
たくさん残した想い出たちが
頭の中を駆け続ける

やりたいことは
まだまだたくさんあるけれど
刻は迫り
行かなきゃならない場所がある

貴方と語った夢物語
夢は夢のまま連れてゆく
二人で見つめたあの葉桜は
綺麗な花をまた咲かせるか

迎えが来るその時は
せめて笑顔は絶やさずに
貴方との時間がとても
幸せだったように…

物語はここで幕を閉じ
静かに目を閉じる
微笑みかけた天使が唄う
「二人の笑顔はまぶしいね」と…