この本の題名を聞いてピンと来る人は、かなり少なくなったであろう。
数年前に求めてあったが、今回、札幌すすきの首なし殺人事件を知って、読む気になった。
1997年に起きた神戸の児童連続殺傷事件犯人の親たちの手記である。
従来、犯人は許せない人格異常者であり、親たちの育て方が悪かったのであろうと思われて、私もその見方であった。
しかし、この本を読んで、多くのことに気づかされた。
大雑把に言えば、あの事件は、あの少年が、別な家庭(夫婦)に生まれていても、あの事件を防ぐことはできなかったのではないかということ。
別な言い方をすれば、あの少年の異常さに、親が気づくのは非常に困難だったということ。
この事件は、起きなければよかったのは、当然だが、やりようによっては、殺される被害者は出さずに済んだのではないかということ。
このことは、私は、他の場所でも、言ってきたが、同じ意見は、別な人たちからも表明されている。
つまり、Aが二人を殺害する前に、別な少女二人に怪我をさせた事件が発覚したときのことだ。
被害者の一人が、犯人の顔を覚えているから、(友が丘)中学校の生徒のアルバムを見せてほしいと言ったとき、学校側が何と言ったか❌❌❌❌
プライバシーの侵害になるから?
いつの時代から、人権や、プライバシーに、人命より重い価値が置かれるようになったか!
この本を読んで、はっきり分かったこと。
Aは、自分の気持ちをなかなか外に表さないという芝居?は非常に上手であった。
褒めたことではないが。
殺害事件が発覚しても、親たちは、自分らの息子がやったかも?などとは微塵も思わなかった。
だから、この手記を読んで、親たちが受けた衝撃は想像に余りある。
タラレバの話だが、Aに、ヤバいことをする者だとの疑いがかけられていたら、たぶん殺害行為はやってなかっただろう。
Aの人を欺く能力は天才的である。
ADHDのレッテルも貼られたようだが、1つ私も感心したことがある。
事件を起こすより前に、母親がAに、百人一首を一晩で80首以上覚えたら、小遣い5千円やると言ったら、ホントにやってのけた!と。
私は、この歳まで、全てを覚えたことはなくて、今ちびりちびり覚え足している状況。
あと断片的なことを付け足す。
事件の犯人が世に知れたあと、彼の住まい宛に、嫌がらせや脅迫の手紙や電話が殺到したようだ。
このようなことは松本サリン事件の際も、河野義行さんは経験した。
野次馬は、犯罪だ❌❌❌❌
嫌がらせや脅迫をして、誰が得をするか!
こういう非生産的なことをする者たちは愉快犯と変わらない。
Aは母方?の祖母から、可愛がられており、その死以来Aの人格が変わったと当時言われたが。
結果論?だが、Aの事件を知らずに、祖母が亡くなったのは不幸中の幸いか。
しんどい内容だが、少しでも多くの人が、この本を読むことを。
過ぎた一過性の出来事とは思わないでほしい。
Aの二人の弟、両親は、茨の道だが、生き抜いていただきたい。