数十年前、都内に住んでいた頃、中華料理屋で、注文した料理を食べていたら、ゴキブリの子どもが入っていた。


普通の人なら、そこで食べるのをやめたかも。


私は、それだけ避けて、全部食べてから、店主に見せた。


「あ、申し訳ありません、今日はお代は要りません」


いや払いますよと、710円のところを10円だけまけさせた。


なんと立派な客!(自分で言うのが、玉にきず。)


私は、農家の出身だし、戦後の貧しい中を生きてきたから、食べ物に不平など、まず言わなかった。


間違えて、ゴキちゃんを食べても死なないだろう。


その店には、その後も、普通に、食べに行った。


昔、お客様は神様ですと言った者が居た。


客を扱う側が、その精神で接客するのは結構であろう。


しかし、客が、それを真に受けて増長するのは間違いである。


金を払う方が偉いと思っている者が多いが、間違っている。


サービスを提供してもらうのは、自分でやれないことを他人にやってもらうわけだから、提供する側に対して顧客は、有り難いと思わなくてはならない。


金を払うから偉いのではない。


交換経済発祥の経緯を考えれば分かることだ。


私は、散髪してもらっても、ありがとうとか、お世話さまでしたと言うことにしている。