【★評価】 (五つ星評価)
★★★★
【解説・ストーリー】
行く先々で問題を起こすせいで里親のもとを転々としている12歳の少女ギリー。いつか本当の母親と暮らすことを夢見る彼女は、新しい養母トロッターさんのもとや転入先の学校でも反抗的な態度ばかり取ってしまう。そんなある日、実母から手紙を受け取ったギリーは、母が暮らしているというサンフランシスコへ行くことを決意。心優しい盲目の隣人ランドルフさんからお金を盗んで大陸横断バス乗り場へと向かうが……
【レビュー】
なんて清々しい映画なんでしょう。
愛情に溢れていました。
こんなに素晴らしい映画なのに日本劇場未公開。なぜだーーー!!??
主人公のギリーは、不器用でうまく愛情表現できないながらに、彼女なりの方法で相手を敬っている。
痛感したのは、愛情を受けた経験があるか否かで、愛情を与えられるかが決まるということ。
両親が離婚し、同居していた母親からも見捨てられるような形で里子に出されて里親を転々とするギリー。
このような環境で生まれ育った彼女に非はない。
生まれ育つ家庭を子供わ選べないわけですから。
よって、彼女が里親に強く当たったり、被害者意識を持って問題を起こしたとしても、
本来は誰も責めることなどできないはず。
新しい里親の元には引っ越してきたところからストーリーが始まる。
里親がキャシーベイツという時点で期待が高まる。
彼女の演技は人の心に訴えかけ、涙を誘う。さすが。
生意気に反発するギリーをもろともせず、深い愛情を持って接するその姿に畏敬の念を感じるほど。
他人なのに、血が繋がった家族の誰よりも愛情を注いでくれる里親に、ギリーの心も次第に溶けていく。
愛を知らないと、愛を与えることはできないんだな、と痛感。
ギリーを引き取りに急に登場した母方の祖母。
くせ者かと思いきや、とても善良で、ギリーを第一に考えてくれる。
実の家族と里親と。
どちらを取るべきか。いや、どちらを選ぶ必要などない。
どちらも家族。
心が豊かな人は争いごとをしない。
皆がそうであれば戦争など無くなるはずなのに…と、壮大な話にまで思いを馳せてしまった。
【基本情報】
原題: THE GREAT GILLY HOPKINS
製作年: 2016年
上映時間: 98分
製作国: アメリカ
監督: スティーヴン・ヘレク
原作: キャサリン・パターソン 『ガラスの家族』(偕成社刊)
脚本: デヴィッド・パターソン
撮影: デヴィッド・ダンラップ
音楽: マーク・アイシャム
音楽監修: リンジー・フェローズ
【出演】
ソフィー・ネリッセ ギリー(ガラドリエル)・ホプキンズ
キャシー・ベイツ メイム・トロッター
ジュリア・スタイルズ コートニー
ビル・コッブス
ビリー・マグヌッセン
オクタヴィア・スペンサー ハリス先生
グレン・クローズ ノニー・ホプキンズ