1月31日です。
あけましておめでとうございました。
上の画像は昨年大ヒットしたドラマ「VIVANT」でものすごくいい味を出していた「ドラム」さんです。今回、ドラムのイントロが導くかっこいい曲をご紹介するためにノーギャラでご出演いただきました(笑)。
さて、半世紀近い昔のお話です。
中学生だった私に洋楽を教えてくれたのは、五歳上のいとこや、ちょっと気になってた同級生男子や、ラジオのDJや、月刊明星付録のソングブックなどでした。いくらか知恵がついてくればニワカ情報で会話が盛り上がるのは必定のこと。目立ちたがりで卑怯者の私は、できる限り他のみんなが気付かないようなことを探して(この傾向は習い性となり、今に至っているわけですが。笑)話題の中心に居座ろうとしておりました。
他の友達がシビれるギターソロ(たとえばジミー・ペイジ)やらパワフルなヴォーカル(たとえばロバート・プラント)やらについて言及している中、私はドラムのかっこよさ(たとえばボンゾ)について、ないウンチクを絞り出して対抗していたわけです(全部ZEPですね、笑)。
ZEPとのファーストコンタクトはアルバム「Ⅳ」でした。同級生男子から「とにかく聴け!」と回って来たレコードから流れてきた音は、カーペンターズやオリヴィア・ニュートン・ジョンといったソフトな曲しか知らなかった私の頭をぶっ飛ばすに充分な衝撃をもたらしました。あのアルバム収録曲で、ドラムイントロといったら…そう、これです。
Rock And Roll / Led Zeppelin(1971)
1970年代後半、ハードロックを好んで聴いていた中学生がZEPと双璧を成す ディープ・パープルを素通りするはずがありません。「ばっち来い」気分で迎え入れた最初のパープルのアルバムは「ファイヤボール」でした。このアルバムのタイトル曲でもあるオープニングナンバーに、私はまたしてもノックアウトされたのです。
ファイヤボール射出音からの凄まじいドラムイントロは、まるで千手観音が演奏しているのかと思ってしまうほどの手数の多さ(足数も、ですね)。「人はこんなに速くドラムを叩けるものなのか」とただただ驚きました。このアルバムには「ミュール」というすごい曲も収録されておりまして、階段から転がり落ちている時の擬音のようなドラムプレイが出色です。
次は、アメリカのバンドです。ラジオでイーグルスを聴いて、「あれもいいよね」なんて感じでいとこと話しているうちに「そんじゃこれも聴いてみ」と渡されたレコードがグランド・ファンク・レイルロード「アメリカン・バンド」でした。カウベルの乾いた音に続く前のめり気味のリズムが気持ちよくて、アメリカのバンドにも食指が動くきっかけになった作品のひとつです。
We’re An American Band / Grand Funk Railroad(1973)
「我々はアメリカのバンドである!」と清々しいほどきっぱりと歌っています。ナショナリズムをドーンと前面に出すスタイルは英国勢とは違うあっけらかんとした明るさを醸し出していて、アメリカという国に強い憧れを抱く動機にもなりました。
では、シメの曲です。これはドラムイントロというよりもボディパーカッションと言った方が態を表しているかもしれません。
上述の3曲を聴いた時期は発売時以降の後追いでしたが、これからご紹介する曲が収録されたアルバムは、すでにそのバンドのファンであった私が発売日に速攻でレコードショップに駆け込み購入したものです。一刻も早く彼らの新着の音に触れたくてはやる気持ちを抑えつつ、レコードをターンテーブルにのせた途端に聴こえてきたのは、流麗なピアノでもなく、派手なギターでもなく、特徴ある歌声でもありませんでした。地団駄を踏んでいるような足踏み音とドラムに続く手拍子(実際のレコーディングではドラムは使っていないとのことですが)。たったそれだけの、メロディーすらないイントロが不思議な圧を持って響いてきたことを今も覚えています。
そのアルバムとは クイーンの「世界に捧ぐ」のことでございます。「We Will Rock You」の強烈なインパクトは46年が経過した今でも鮮烈で、この曲を聴くと多感だったころに戻っていくような気がします。
We Will Rock You / QUEEN(1977)
できることなら気分だけでなく見た目にも若さを取り戻せたら、などと考えないこともないんですが、若かったクイーンがスターダムを駆け上がり、幾多の伝説を携えて今に至るプロセスをつぶさに見ることができた幸運を思えば、歳をとるのもそう悪くない気がしてきます。
それでは皆様、本年もよろしくお願い申し上げました(笑)。ではまた。